【文スト】最悪で、最高の日【太宰治】

サ ページ5

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「桜、綺麗だな。」



透き通るような青空の下、君と二人で出掛けた花見。




「太宰。お前って、欲しいものって、あるか？」



欲しいもの？

何故そんなことを聞くんだい。



「や、やっぱり大丈夫だ。忘れてくれ。」



いや忘れてくれって言われても……。



「そ、そうだ！腹減らないか。」



そこで君が取り出したのは、風呂敷に包まれた弁当。



蓋を取ると、色鮮やかな具が沢山あった。



どうしたの？これ。



もしかして国木田くんに作ってもらった？



「んなわけあるかボケェ。」



箸でつまみ、口に運ぶ。



「……どうだ。」



……美味しいよ。



彼女の笑顔が咲き乱れる。




「良かった。太宰が喜んでくれて。」



なんだい？私のことを心配していてくれたのかい？



「ち、違う！その……国木田さんが最近太宰が疲れてるようだからリフレッシュに花見にでも行ってこいって……。



べ、べつに与謝野さんに手作り弁当がおすすめだよーとかナオミさんに花見とかはどうとか言われてないからな！」



うっわわかりやす。



「なんだとっ!?」



はいはいそこまで。



振りかぶられた彼女の両手を捕まえ、床に押し倒す。



「ちょっ……おい太宰！放せ………っ!?」




なんだい？その目。



私はただその五月蝿い口を塞いであげただけだよ。



それと、私が今欲しいもの、これだから。



御馳走様。




「……こんの野郎。」



ちょ、蹴るのは反則だよ！

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