私、四葉です 弐【刀剣乱舞】

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驚いた表情でこちらを見る長谷部






「……殺して」


言葉にするのは簡単で






たった十六年の人生は



この一言で幕を閉じるのだ









「……それは主命か？」



表情の読み取れない長谷部



私は首を横に振る








「同類のお願い」



笑えてそう言えた






背を向けていた加州さんの方を見る







「加州さん、約束してほしいことがあるんです」



加州さんはこちらを向いていた









「……これから何があっても




仲間に刃を向けないって約束して下さい」







別に死に際にカッコいい事が言いたいわけじゃない




ただ、信じている人がいるなら自分で壊さないでほしい




私が上から目線で言えるたった一つの事だ







「……」



返事なんて求めていないから



すぐに長谷部の方に向き直って






正座した








長谷部が無表情で刀身を抜いた



カチャっと刃に私の横顔が映る







頭の中で何度もシュミレーションをするが



どうしても手の震えが止まらない






長谷部に気付かれないように



グッと握りしめる







死ぬ直前、人間は本性を現す





そんな言葉を聞いたことがある





じゃあ、私の本性は小夜が大好きだったということだろうか





『もう少し自信持ちなよ



僕の主は主しかいないんだから』





「……小夜」





たとえ見限られたとしても



人生でこれほど誰かを好きになったのは



小夜だけだったなあ





そう思って目を閉じた






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