ブリード本丸 "三"

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「なんでもしてくれるって約束してくれるなら




話してもいいよ」




薬研が私を見てギョッとした



私の顔が今、あの日のように笑っているからだろうか






「……なんでも、か？」




薬研の顔がそれは出来ないと




すでに答えを出していた








「うん、顔がいいからって何しても許されると思ってるの？




誰にだって立ち入られたくない領域があるの







知られたくないことも、



言いたくないことも、



言われたくないことも




それを全部、受け止められるなんて思い上がらないでほしいよ






私が、お前みたいな奴に





心の半分見せて何か得あるの？








一緒に生きてくれるわけでも




養ってくれるわけでも、




サウンドバックになってくれるわけでもないのに？








図々しいにも限度ってものがあるんだよ




そのさじ加減が分からないなら









誰かに手を差し伸べる行為は





ただの君の自己満足だ」





怒鳴らない代わりに、冷静に




暴言の代わりに、皮肉を









「人として一回くらい、地獄を見てみたらいい




そうしたら、その偽善も少しは本心になるんじゃないかな？」








地獄は味わった人にしか理解できない









だから、殴られたことのある人しか




殴られた苦しみを知るはずがない






義務教育を受ける辛さも




クラスメイトにいじめられる辛さも




受験競争のプレッシャーも








私のような逸脱者には語れるわけもない








私には私なりの人生の沼がある




そして、現世で過ごしている私と同じ日に誕生した誰かも私と同じだけ苦しんでいるんじゃないだろうか




その人にはその人なりの沼を持って









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