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［病気］
青の一は長くない
彼が桃の一と結婚して二年した頃だろうか
元から体調を崩していたが
命を蝕む大病である事が分かった
「ここで、治してやれたら良かったんだがな」
薬研は悔しそうに顔を歪めていた
しかし、榊原さんも言っていたが
治せない病気ではない
すぐに現世に行って手術をすれば
命は助かると言われている
だが、それには大きな壁があった
「ここに残ります」
青の一ははっきりと
私に向かってそう言った
「ここで、一生過ごすつもりでした……、
桃の一と鹿達とここで暮らします……」
「……現世に行けば、治せる病気でも？」
残酷な質問だとは重々分かっていた
彼が病気になるまでは
幸せなことも知っていた
青の一は瞳に涙を溜めた
年長者として泣かぬようにしていた
でも、彼の綺麗な睫毛から
雫は落ちた
「しにたくないっっ……！！
でも、あそこにもどりたくないっっ………！！」
彼は床に頭をつけて泣いた
誰かに懇願するように
必死に
青の一は桃の一と違って
人間に飼われた記憶があった
彼にとって人間は恐怖の対象だった
その恐怖が青の一を
現世に行かせなかった
青の一は半年後に死んだ
亡くなる前日まで桃の一や鹿達と笑っていた
「何で！！A！！」
桃の一はやり切れない怒りを私に向けた
「何で、Aは行けって言ってくれなかったの！！」
青の一は桃の一に何も話していなかった
桃の一は泣いた
鹿のニを抱えた鹿の一も泣いた
「青の一は現世で一度売られた
青の一は死にたくなかった
でも
あっちの世界で生きたくないと言った」
桃の一は泣いている
青の一が死んだことを嘆いている
桃の一は病気のことを知ったら
きっと、現世に行こうと青の一に言うことを
青の一は知っていた
しかし、青の一も桃の一も大きい
出て行けばここには二度と戻ってこれない
「青の一は、最期までここで生きることを望んだ
最期まで桃の一と自分の子どもと
笑って過ごしたいと言った」
青の一に頼まれていた遺書を桃の一に渡す
桃の一は本丸中に響くような
叫びを上げて泣いた
.
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雪月花のとびうお(プロフ) - 大変長くなってしまいましたが、これからも応援しております。また、こちらの様な作品、楽しみにしております。 (2019年12月29日 7時) (
レス) id: b36649e14a (このIDを非表示/違反報告)
雪月花のとびうお(プロフ) - 完結していて驚きました。完結して頂けていて、本当に嬉しく思います。また、久しぶりだったので初めから読んだのですが、素晴らしい作品です！！所々で涙が出ました…。 (2019年12月29日 7時) (レス) id: b36649e14a (このIDを非表示/違反報告)
雪月花のとびうお(プロフ) - 初めまして！昔こちらの作品を読んだ時は、主人公が現世に戻った瞬間で更新が停止していたのですが…。しばらく見れなかった期間もあって、新しくアカウントを作り、久しぶりにこちらを探してみたら、 (2019年12月29日 7時) (レス) id: b36649e14a (このIDを非表示/違反報告)
大根パンダ(プロフ) - すずなさん» コメントありがとうございます(*´∀｀*)示唆するために目が紫とは書きましたが番外編含み本編でははっきりと誰の子なのかは書いていません。主人公の設定は薬研藤四郎の子ということにしています。完結までお付き合い頂きありがとうございました。 (2019年2月6日 7時) (レス) id: 36e4821907 (このIDを非表示/違反報告)
大根パンダ(プロフ) - よっしーさん» コメントありがとうございます(´∀｀)こちらこそ、完結まで読んで頂きありがとうございました！これからも、みなさんが楽しんでくれるような作品を書くように研鑽を積みます。 (2019年2月6日 7時) (レス) id: 36e4821907 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：大根パンダ | 作成日時：2018年8月24日 20時
