ブリード本丸 "三"

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犠牲を担っていた神子は




三年前からパッタリと生まれなくなった






それが原因で、ブリード本丸は数を減らし





今ではブリード本丸は完全になくなったと言える









神子は過去のブランドと化し





かなり高額で裏に出回っているらしい









榊原さんが神子保護安全委員会を




設立していくれた







そこで、神子の回収が早急に行われている






中には"この本丸"を出て





精一杯頑張ってくれる子達も多くいる









そして、今日もまた一人




少女が外に憧れを持って




外に出る決意をする








「Aちゃん！」






真っ青な瞳の少女が




身を乗り出して私を見てくる








「青の一、本当に行くの？」




「……うん」





青の一は大和守安定の子




桃の一と仲が良く、子ども達の世話を沢山してくれた




読み書きなどが好きで




榊原さんが送ってくれた本の中でも




書道に大変、興味があり







書道で有名な人物にどうしても会いたいらしい







しかし、







「青の一、念押ししておくけど





ここは一度出たら戻って来られないよ






それでも、行くんだね」






私の言いにくいことをさらりと言ってのけた





隣で座っている燭台切








青の一は、それにも頷いた







志のある者を無理に




ここに留めようとは思わない







空間を切り離したが、




こちらからあちら側に行くことは容易い







大人でも子どもでも出ていける







しかし、あちら側からこちら側には





身体の小さい子供しか入ることが出来ない








開かれる空間の穴が小さく





大人には通れない








青の一が、ゲートをくぐって





外に旅立っていった







その背中が見えなくなり




空間の歪曲が正常になるまで





Aは玄関で彼女を見送った







「……行ったのか」





背中から声が掛けられる




振り返ると






十年前と変わらぬ姿の大倶利伽羅が立っていた








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