恋人の恋人【ハイキュー】

解答２９ あの子にジュース一本 ページ30

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バシィン





ネットを挟んで反対側のコートで




及川が床にボールをつく








「……ほんとにやるの〜？」






中学生にしかも、バレー経験のなさそうな女子に





全力サーブを打つのは忍びないのだろう







及川の声に返事もせず





制服の腕まくりを続ける







「いいですよ」




藤本が壁側にいる青城のメンバーにオーケーの合図を出す







「及川ナイサー」




花巻が、及川に合図を送る




藤本がスッと構える








「……オレ、及川が勝つにコーラ一本」





「じゃあ、オレも及川にサイダー一本な」





松川にポンッと肩を置かれた岩泉は




渋い顔をする







お前はあの子にかけてやれよ。とでも言いたげだ








「…………」




岩泉は及川に対峙して、本気で取ろうという気概をあの子からは感じない






けれど、"あの試合"の日にストラップを取ってくれたことに感謝して








「アイツにCC二本」




「マジかよ！」



「一目惚れしたのか？」




松川がそう尋ねてきた







「んなわけねえだろ、ボケ！！」





そう怒鳴ってから、藤本を見る




及川のサーブの一本目が、あの子の横を通り過ぎる








「ハンデあげようかー？」






「後悔しても知りませんよ」






「うわぁ、生意気ー、



そんなんじゃ、男の子にモテないぞ！！」





「キモい」




「及川さん、大打撃！！」





及川のサーブを見ても、なぜか藤本は諦めたような顔をしなかった





ほら、今もどこか遠くを見据えている







二本目、三本目………と藤本は及川のサーブに手を出さずに見守っていた





そして、四本目に急に動き出した








及川の慢心もあったんだろう






藤本は及川のサーブを完全に見切り、ボールは綺麗な弧を描いた








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