～happy end～【完】 (ページ7)

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淳太様とA様は王子様とお姫様のようで。

しばらく息をすることを忘れてしまった。

二人は何かをヒソヒソと話したかと思うと、ふふっ、と微笑みあった。

胸が痛かった。

来世はせめて同じ身分に生まれたい、なんて思っていればA様と目が合った。

俺を映す、綺麗な瞳。その瞳が不安そうに揺れる。

『助けて』

A様がそんな目をしてる、なんて勘違いしてしまいそうになる。

A様に「好きだ」と伝えたい。

人目を気にせずに強く、強く抱きしめたい。

そんなこと、できる訳が無いのだけれども。

ふと気がつけば、もうウエディングケーキの入刀が始まろうとしていた。

淳太様がA様の手をとり、ケーキの前まで二人で一歩一歩と歩き出す。

頭で考えるよりもずっと早く身体が動いて頭で考えられるようになると、俺はA様の腕をとっていた。

「A様、俺と来てください。」

A様の肩を引き寄せそう言うと、淳太様は驚く様子もなく右の口角だけを上げて不気味に笑っていた。

「ふは、若くて、甘いなぁ、考え方も。まぁ、お前に教えてやるよ、俺から逃げられるなんて思うなよ？」

俺は淳太様を睨み、A様の腕を掴んで走り出した。