LAST ページ17
突然廃屋に響いたエンジン音。
アイツらだろう。
やっぱり俺らは逃げられないのか。
A様を見ると静かに優しく、でも力強く頷いた。
相手は10人。
真ん中には淳太様がいる。
「A？今なら大毅の命は保障してやる。」
「大毅なら、大丈夫。絶対に淳太様になんか負けない」
「ふーん、生意気な小娘やな、もうええわ。2人とも殺せ。」
夜が明けていく。
俺は静かに立ち上がった。
左足に力が入らなくてよろめくと、淳太様が鼻で笑った。
「行け、」
淳太様の声で一斉にかかってくる。
10人相手に勝てるわけも無く倒されて殴られたり蹴られたり。
小瀧がA様の手を取った。
A様は小さく抵抗をしている。
「Aに触んなや」
気づけば小瀧を殴っていた。
2人でその場に倒れる。
俺は立ち上がって、小瀧の落とした拳銃を拾った。
「っ、もういいよ、大毅。ありがとう、私、もう疲れちゃった、」
A様の震える手は拳銃を握りA様自身に向けていた。
俺はその手を俺の方に向け、しっかり握らせ、俺の持っている拳銃をA様に向けた。
「死ぬ時は一緒やで。A、愛してる。」
「ふふっ、私も」
2人で笑った。
パンッパンッと2回鳴った乾いた音は虚しく空に消えていった。
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作者名：ひぃなる。 | 作成日時：2019年6月22日 16時
