僕は君を……"護りたい" (ページ4)

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壱ページ4

小野side

はぁ………まただ。

「大輔、聞いてるのか?」

『…聞いてますよ、大江さん。』

また大江に説教を受けている。

「いい加減、いいじゃないか。」

『・・・。』

「そんなに嫌なことじゃないって皆も言ってるぞ?」

『・・・。』

「相手も満足し、お前も気持ちよくなれる。一石二鳥でいいじゃないか。」

『…別に気持ちよくなんかなりたくないです。』

「はぁ、その思考をなんとかしてもらいたいんだがな。」

『無理ですね。』

「だろうな。でもまぁ、お前を堕とそうとする客が多いから今のとこは別にいいんだけどな。」

『なら』

「でもな、いつかは来るぞ。」

『来るって。』

「抱かれる日、だ。」

『っ…』

「今のところは別にいいが、一応覚悟はしておくんだな。」

『…はい。』

「よし、帰っていいぞ。」

『…失礼しました。』

ｶﾞﾁｬ

はぁ、嫌だな。

・・・今は、か。
ここにいる間はその運命からは避けられない。
いつ客に抱かれるか分からない。いきなり押し倒されるかも、合図もなしに触ってくるかも……
そんなことが考えられる。

ある日、客が俺の服を脱がそうとしてきた。
俺は本能で殴った。そいつは大江に言ったのか後で凄い怒られた。次の日、俺にやたら触ってくる奴が来た。…また殴った。
次の日も、そのまた次の日も、そのまた次の日も・・・
知らない奴にベタベタ体を触られるのは気持ち悪い。客も客で鼻息が荒いし。

ある日の事だ。俺は大江に呼び出された。

「大輔。」

『なんですか? 』

「客の間でお前が噂されているぞ。」

『・・・噂?』

「あぁ、 "ツンデレの大輔君"だって。」

『・・・嘘ですよね?』

「さすがにバレるか。」

『ですよね。』

「でも噂されているのは事実だ。」

『え。』

「"化け猫大輔"だって。」

『化け、猫?』

「出迎える時は甘えるが、触ろうとすると攻撃をしてくるところから化け猫ってなったらしいぞ。」

化け猫…。
凄い名前を付けられたもんだ。
確かに始めは作り笑顔で出迎えたり、酒を注いだりしている。一応、客は客だ。それなりの対応はしないといけないからそうしているだけだ。
そして客が俺に触ろうとする。それを殴る・・・

『・・・客が来るならこのままで良いじゃないか。』

そう呟きながら自分の部屋に向かった。