壱 ページ18
まさかここで会ってしまうなんて…
しかも休暇中に。…はぁ、面倒だな・・・
僕が働いてる場所は"表"ではなく"裏"で有名な
暗殺屋だ。
最近、ボスのところにとある情報が
入ってきて、その情報を僕に伝えられるらしい。
「お呼びでしょうか？」
「はぁ、"また"貴方に同じ事をしてもらうわ。」
「"また"ですか。」
そう、ここ数日で僕にくる依頼が一気に増えた。
その依頼は…
「今回は誰が裏切ったんですか？」
裏切り。暗殺目標側に寝返ったり怪しい行動をみせると裏切りと判断される。裏切り者は殺される。ここに入ってしまえば、死ぬまで辞めることはできない。
「・・・こいつよ。」
「あ〜、この前の仕事で足を引っ張った奴。」
「えぇ。だから消えてもらって私も精々してるの。で、殺ってもらえるかしら？」
「う〜ん、…まっ、別にいいですよ。あぁ勿論、お給料を上げてくださいよ？」
「分かってるわよ。さっ、行ってらっしゃい。」
「ありがとうございます。」
そして
「うわぁああぁああぁぁ！！」
「お前が悪いんだぞ。ボスの嫌いな"あの店"に行ったりするからこういう運命になるんだ。」
こいつは"あの店"に行っていたらしい。
でもなぜ、あんなとこに行ったんだ？別に面白くないだろうに。
[男が男に媚びを売る気持ち悪い場所]なんかに…
僕は裏切り者を殺り、ボスに報告しに帰った。
「ボスー終わりましたよー」
「小野大輔…」
「ボス？」
「…あら、帰ってたのね。ご苦労様。」
「あ、いえ別に。・・・あのさっき口にしてたのって誰ですか？」
「あぁ、最近うちのメンバーをどんどん裏切る原因となってる男よ。」
「というと、あの気持ち悪い店の奴ですか？」
「えぇ、そうよ。"あの人"の店の一人よ。」
"あの人"とは大江さんっていう人のことだろう。
うちのボスの元旦那だった人だ。ただ昔色々あり
別れたらしい。その色々をボスはどうしても教えてくれない。
「というかあんな裏切り者を増やすくらいその男はいいんですかね？」
「なに？もしかして興味あるの？」
「いいえ、僕は男になんて興味がありません。でも男を堕とすぐらいいい男だったら、その堕とし方を知りたいなって。」
「・・・まっ、貴方は私を裏切らないと信じているわよ。」
「大丈夫ですよ。貴方は僕の恩人です。裏切りは絶対にしません。」
そうボス……甲斐田さんは僕の恩人。
裏切りは・・・しない。
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作者名：八雲橙 | 作成日時：2019年2月22日 22時
