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そもそも今日は話し合いをするためにAのご両親をお招きしたわけだけれど、話し合いというよりは、最初からこちらが圧倒的に不利な立場から「それでもAをまだ韓国に貸してくれ」と 一方的にお願いするようなかたちで。
だから、こうやって理論的な条件を普通に並べてしまえば、向こうの道理が通るのが当たり前なのだ。
それでも。
『……分かってる。分かってるよ。理由がどれだけ理不尽なものだろうと、いくら私が悪くなかろうと、今回のデビューを逃してしまったのは、現実的に考えてかなりの痛手だし…… 次に女の子のグループがデビューする頃には、私はもうおばさんになっちゃって、手遅れかもしれない』
萎れたように口をつぐんでいたAは、改めて見せられた現実の辛さを噛み締めるように眉根に力を入れながら、もう一度顔を上げて母の瞳をしっかりと見据えた。
『それでもやっぱり、私はここで夢を見たいの。どれだけ狭く険しい道だろうと、その道しか輝いて見えなくて、どうしても憧れを捨てられないの』
はらりとこぼれ落ちた涙が、じんわりと机にシミをつくる。その時間の経過すら、Aの味方をするように美しくて。
『ママ、私、いつまでも我が儘ばかりの娘でごめんなさい。だけどこれだけは譲れない。
この国で、この会社で、必ずデビューを掴みとって…… いつか今日のこと思い出した時、私の夢を応援して本当に良かったって思えるような結果を残すって約束するから』
だから、お願いします。
そう言って頭を下げた姿は、あまりにも凛々しく、頼もしく。
BA「……私からも、お願いします」
気付けば私も同じように席を立ち、頭を下げていた。
BA「Aさんには、特別な才能があります。歌手になるのに必要なのは、歌やダンスといった技術だけじゃないんです。この子が持っているのは それ以上に大切な才能…… スターになる、素質です」
強い意思を宿した吸い込まれるような瞳は、誰もが持ち合わせるようなものではない。
そして、理不尽に夢を奪われた 年端も行かない少女が、その輝きを失わずに それを乗り越える強さも。
BA「Aのいちばん辛い時間に寄り添って、私はその強さを目の当たりにしました。だから確信しています。デビューさえすれば、この子は必ずスターになる。
それも、グループの一員としてそっと支えるようなメンバーではなく、どんな集団の中にいようと どうしようもなく一番に目を惹いてしまう、そんな存在です」
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ゆゆ(プロフ) - しおんさん» コメントありがとうございます！テスト期間大変だと思いますが、この作品が少しでも癒しになれたら嬉しいです。これからもお楽しみ頂けますように！ (2021年7月16日 0時) (
レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
しおん(プロフ) - こんばんは！ほんとにこのお話が大好きで毎日更新楽しみにしてます！テスト期間の楽しみですほんとに！笑 (2021年7月13日 1時) (レス) id: 3cf46177b4 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - ちさん» お待たせしてしまいましたが、久しぶりに更新いたしました！楽しみにしていてくださって嬉しいです。これからも応援よろしくお願いいたします！ (2021年7月7日 10時) (レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
ち - 更新楽しみにしています！ (2021年6月17日 23時) (レス) id: 072283b15e (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - はなさん» コメントありがとうございます！楽しんで頂けて嬉しいです。Twitterまで……！これからも応援お願いします。 (2021年5月25日 12時) (レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆゆ
| 作成日時：2021年3月7日 0時
