23. 曖昧な境界 ページ26
MG「この粉が、その……」
『うん、そう。魔法の粉。美味しくて、きっとミンギュも手放せなくなるよ』
その手に小さな袋を乗せてやれば、物珍しいのだろう、ミンギュは吸い込まれるようにそれを見つめている。
中に入った粉を揺らすように振ればサラサラと音を立てて、そんな当然のことにもわあ、なんて驚いてみたりして。
初めての物に対する好奇心を最大限まで披露した後、やはり少し不安そうな顔をした。
MG「でも…… 良いのかな、本当に。だってこれ、一度手にしたら、中毒性があってなかなか辞められないんだよね？」
『まあ、確かにそう言ったけど…… だけどさ、人生には、そういうモノに頼りたい時だってあるじゃん。疲れていて、もう何もやる気が起きなくて、だけど生きて行くしかなくて……』
MG「ああ、それでも明日はやってきて……」
『そう。そしてそれを乗り越えるためにさ、人間は、この粉に手を出すんだよ』
箱から個包装の袋をもう一つ出して彼の目前に掲げて見せれば、その子犬のような顔に決意を固めて受け取った。
JK「おーい、俺の家で怪しい粉の密売すんのやめて貰って良いですかー？」
と、そこに登場する家主。
お察しのとおり、こちら、毎度お馴染みジョングク宅。広くて、みんなの家からのアクセスも良くて、やっぱり集まるならここになってしまうのよね。
『やー、別に怪しくないよ。ただの日本のだしの素だって。ミンギュが使ったことないって言うからあげただけで』
JK「じゃあ魔法の粉だとかなんとか、紛らわしいこと言うなよ」
『だって本当に魔法の粉なんだよ！これさえあればどんなものでも美味しい日本食になるんだから！』
だしの素、凄いんだからな。大発明。これ入れるだけで出汁になるんだよ。
ああ、今こそ全ての日本国民に問いたい。
鰹を削るところから始めていた古き良き時代の出汁の取り方も知らず、ただこの粉を水に溶かしては、お袋の味〜なんて言っている日本人のなんと多いことか。
MG「ジョングク〜、俺がAとふたりで買い出し行ってきたからって妬くなよ〜 マジで大変すぎたしもう二度と行かないから〜」
『何それ！ミンギュが日本食チャレンジしたいって言うから一緒にお買い物行ってあげたのに！』
MG「いや、そうだけど！まさかあんなに早く見付かって大騒ぎになると思わないじゃん…… さすが今世界で一番話題の日本人……」
『それに関して言えば、どう考えてもお前がデカ過ぎるのが悪いと思うんだけどね』
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ゆゆ(プロフ) - 塩水さん» コメントありがとうございます！熱心に読んで頂いているのが伝わってきて、私の方が素晴らしい読者さまに届いて嬉しく思います。これからもご期待に応えられるよう頑張って更新するので、引き続きご愛読頂けると嬉しいです！ (2021年3月5日 17時) (
レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
塩水(プロフ) - お話を読み返すほど作品に対する熱情が伝わってきて、こんな素晴らしい作者さんが書く、素晴らしい作品に出会えてよかった、と思いました。初めてのコメントで拙い文章になってしまいましたが、最後まで読んでいただけると幸いです!長文失礼致しました! (2021年3月5日 17時) (レス) id: ca8e68c7c0 (このIDを非表示/違反報告)
塩水(プロフ) - こんばんは。いつも紅一点シリーズ楽しませて頂いております!その場や人の細やかな心情を表現する文章は勿論、紅一点という題材を元にK-POP界の様々な問題を取り上げてストーリーに練りこんだこの作品が大好きです! (2021年3月5日 17時) (レス) id: ca8e68c7c0 (このIDを非表示/違反報告)
なおてぃん(プロフ) - ゆゆさん» 禁句は笑いました（笑）これからもこのお話の中のジェヒョン達がどのように幸せを掴んでいくのか見守らせてください(^^)応援しています！！ (2021年2月24日 16時) (レス) id: 600e5004d6 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - なおてぃんさん» 温かいコメントありがとうございます。さらに好きになっただなんて、一番の褒め言葉です……！正直私もジェってこんなに優しくない気もしますが(禁句)笑、このお話の中では彼女に出会って過ごす日々が彼をこうしたのだと思います。これからも応援よろしくお願いします！ (2021年2月22日 13時) (レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ゆゆ
| 作成日時：2020年12月30日 1時
