. ページ9
彼の言いたいことは、嫌でも分かった。
それでもやっぱり、それに答える気は さらさら無い。
JK「……なんで俺になびかないかな？」
口をつぐんだ私に構わず、ジョングクは強引に私の腕を引いて自分の胸の中におさめた。
『ジョングク、やめてよ……』
JK「なんで？抱きしめられたら俺に落ちそう？」
『それだけはないから安心して』
JK「ははは、さすがに酷いな」
厚く、かたい胸板。私より少し高い体温。
何故か落ち着く、優しい香り。
本当に、普通の女の子なら、簡単に落ちちゃうよ。
なのに。
私の頭の中には、今この瞬間もたった一人しか浮かばない。
世界でいちばん近くて遠い、大切な人。
その人以外、どんなスーパースターも敵わない。
『……バカだと思うでしょ。笑って良いよ』
あんたとなら、きっと幸せになれるのにね。
どうして私は、それを選べないんだろう？
自嘲気味にそう吐き捨てて逃げようとしたけれど、そうさせまいとする彼の力に抗えるはずもなく。
腕に入れる力を強められ、ひき止められてしまった。
JK「別に笑ったりしないよ」
ぎゅっと、お互いの境がなくなりそうなほどに力強く私を抱きすくめて。
JK「……そんなAを、俺は好きだから」
そっと離れた彼の胸元の代わりに、今度は綺麗な顔が私の目の前に近付いて来て。
顎に添えられた大きな手から、彼の熱が伝わってくる。鼻先を、甘い雰囲気がかすめる。
なんちゅう色気だ。
同じ年月を生きてきたはずなのに、何を経験したらこうなる？
冷静な頭の中とはちぐはぐに、その甘美な香りに囚われた私の身体は言うことを聞かなくて。
長い睫毛が影を落とすジョングクの瞳が私を捕らえた瞬間、ようやく我に返って彼を振りほどいた。
今にも私に触れそうだった唇を 指で制止するように抑えてやると、あからさまに不満そうな顔をする。
『牛乳飲んだ奴とキスしたくない』
そう言ってリビングへと戻る私を、ジョングクはそれ以上ひき止めなかった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 691人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆ(プロフ) - ぴっぴ。さん» ありがとうございます！ジョングクくん、勝手にとってもカッコいい男前な方だとお見受けしているので…… そう言っていただけると嬉しいです。これからも二人の応援お願いします！ (2020年10月9日 21時) (
レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
ぴっぴ。(プロフ) - ジョングク…最後のセリフはペンじゃなくても惚れます。すてきな作品をありがとうございます！ (2020年10月9日 14時) (レス) id: 6af44f4d13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます！素敵な言葉をかけていただいて嬉しいです。これからも楽しんでいただけるよう、頑張って更新します。是非最後までお付き合いください！ (2020年10月9日 10時) (レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - ストーリーもジェヒョンとの関係性も最高です、これからも楽しみにしてます！ (2020年10月9日 0時) (レス) id: 1312bddf08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆゆ
| 作成日時：2020年10月8日 11時
