. ページ15
撮影は、ホテルに併設されているチャペルで行われる。
ファンに見つからないように突然日本での撮影を決行することになったにも関わらず、ホテルの方々はこちらの意図を汲んで至れり尽くせりの待遇だ。
今日はホテルの建物内に入れる人間をかなり制限してくれているらしいし、離れたところにあるこのチャペル棟には番組関係者以外立入禁止の厳戒態勢を敷いてくれている。
準備の部屋はメンバーの男性陣と私で分かれていて、着替えが終わるまで顔を合わせられない。
私は日本人スタッフだらけの中で大変快適に準備を進めているけれど、向こうは上手く行っているだろうか。
そういえば昨晩、明日は悠太くんに通訳をしてもらうんだと何故か張り切っていたジェヒョンを思い出し、まあ大丈夫かと思い直した。ジェユ……。
職業柄メイクをされることはとても多いけれど、ウェディングのメイクというのは実は初めてで。なんだかとても柔らかい、幸せそうな顔になるから面白い。
ほら、普段は男に混じってオラオラするし、ベッキョンオッパもびっくりなスモーキーアイライン引かれたりするからね。
最後に白いドレスに袖を通せば、それはそれは素敵な花嫁の出来上がりだ。
なんか…… なんでだろう。
メイクもヘアも、ドレスアップするのも、多分普通の仕事をしている人たちよりも機会が多いし、画報を撮るために普段着以外の服を着ることも少なくない。
それでもやっぱり、この白いドレスは、特別な感じがする。
このドレスを着る人は、みんな幸せな人たちだ。
そこまでの紆余曲折を乗り越えてその日を向かえた新郎新婦を、みんなで祝うためのセレモニー。
その主人公が、愛する人と永遠を誓うための格好だから。
昔からおとぎ話の最後は、ウェディングドレス姿のお姫さまが飾るでしょ？
物語がそこで終わっても、それからずっとずっと幸せに暮らしましたと、教えてくれるでしょ？
それが、一種の刷り込みのように作用して、それを身に付けている今、私にも幸せな未来が用意されているような気がしてしまう。
『……うーん、気合い入れないと』
間違っちゃいけないと、鏡の中の自分に言い聞かせる。
これは撮影で、そして結婚は別に幸せのゴールではない。
そうでもしないと、愛する人との結婚なんてあり得ない自分の未来を、ウェディングドレスに身を包みながら呪ってしまいそうだった。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 691人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「NCT」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆゆ(プロフ) - ぴっぴ。さん» ありがとうございます！ジョングクくん、勝手にとってもカッコいい男前な方だとお見受けしているので…… そう言っていただけると嬉しいです。これからも二人の応援お願いします！ (2020年10月9日 21時) (
レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
ぴっぴ。(プロフ) - ジョングク…最後のセリフはペンじゃなくても惚れます。すてきな作品をありがとうございます！ (2020年10月9日 14時) (レス) id: 6af44f4d13 (このIDを非表示/違反報告)
ゆゆ(プロフ) - マナさん» コメントありがとうございます！素敵な言葉をかけていただいて嬉しいです。これからも楽しんでいただけるよう、頑張って更新します。是非最後までお付き合いください！ (2020年10月9日 10時) (レス) id: e6590da59e (このIDを非表示/違反報告)
マナ(プロフ) - ストーリーもジェヒョンとの関係性も最高です、これからも楽しみにしてます！ (2020年10月9日 0時) (レス) id: 1312bddf08 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：ゆゆ
| 作成日時：2020年10月8日 11時
