小公女と小説家志願 ページ5
此れは、中島敦がマフィアの太宰に拾われ、芥川龍之介が探偵社の織田に拾われた後の物語。
織田作之助は仕事を終えた帰り道、或る少女を見つけた。
「お花はいりませんか?とっても綺麗なお花です」
貧民街の子供であろうか、襤褸切れのような服を着て花を売っている。
だが、彼女はどこか場違いな雰囲気を纏ってもいた。その所作の一つ一つが明らかに育ちの良い子だと示しているし、彼女の売る花は、薔薇やグラジオラスと云ったものから織田作の知らないようなものまで、到底彼女に入手できそうにないものであった。
「……その花、一つ幾らだ?」
織田作が話しかけると、少女の顔がぱっと明るくなる。
「買ってくださるんですか!?一本五十円です!」
「そうか。では全部買おう」
少女の笑顔は満開になる。
「ありがとうございます!」
「……ところで、聞きたいことがあるんだが……」
「どうなさいましたか?」
「君にお父さんかお母さんはいるか?」
「……いません」
水仙の様な笑顔の少女に、ほんの少し翳りが見えた。
「わたしのお母様は、わたしが小さいときに亡くなりました。お父様は、つい半年ほど前、事故で亡くなりました」
「他に家族はいないのか?」
「ええ。でも寂しくはありません。お父様の買ってくれたお人形が居るし、わたしがこうやって花を咲かせたら、皆喜んでくれますもの」
そう云うと少女はその場でくるりと回る。ふわりと揺れるスカートの動きに合わせるように、周囲に絢爛華麗な花が咲き乱れた。
彼女も異能者である。織田作はそう確信した。
「……君、名前は?」
「フランシス・ホジソン・バーネットと云います」
「俺は織田作之助だ。フランシス、俺のところに来ないか?」
「え……?そんな、お花を買って貰っただけでありがたいのに、これ以上は……」
「大丈夫だ。俺のところにはお前みたいなのが沢山いる」
初めはフランシスも断ろうとしていたが、織田作の視線に何かを感じ取った。
「……そこまで仰るのでしたら、お世話にならせていただきます」
「よし、じゃあ行くか。今日の晩飯は
夕暮れのヨコハマを、織田作はフランシスの手を引いて歩いて行った。
18人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
Unknown X - ありがとうございます♪楽しみにしてますね♪ (2018年11月18日 20時) (レス) id: 10e952ee54 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - Unknown Xさん» こちらはもうお話が一杯なので続編のほうに書くことになりますが、よろしいでしょうか? (2018年11月14日 17時) (レス) id: acfd73fd70 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown X - リクエストいいですか?谷川俊太郎さんをお願いしたいのですが… (2018年11月14日 16時) (レス) id: 10e952ee54 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - イツキ108さん» わかりました!構成の都合上、続編にて書かせて頂くことになりますが、ご了承ください。 (2018年9月18日 18時) (レス) id: 1feef1598f (このIDを非表示/違反報告)
イツキ108(プロフ) - キューブさん» 返信遅れてすみません。ありがとうございます!リクエストで、萩原朔太郎先生で,芥川さんと登場させて頂けないでしょうか...?異能は出来れば敦君に似た獣化系でよろしくお願いいたします。わがままですみません....! (2018年9月17日 23時) (レス) id: 4a38a1604c (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:キューブ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年7月4日 22時