夢の中のちびっ子たち ページ34
「あれ、きみはだぁれ?」
ヨコハマの街の中、夢野久作が誰かを見つけた。
建物の間の狭い路地に倒れる、ぼろぼろの真黒な子ども。
「なにこれ、死んでるのかな。つまんないの」
久作が黒い塊を蹴り飛ばそうとすると、その塊はむくりと起き上がった。
「……だ、れ?」
「喋った!?」
「ぼく、エドワー、ド?」
エドワードと名乗った子供は、白黒のマフラーをしていて、手にはお揃いのマフラーを巻いた真っ黒なぬいぐるみがあった。
「エドワードっていうの?僕は久作!ねぇ、僕と遊ぼうよ☆」
「きゅーさく、あそぶ?……あそぶ!」
エドワードはぼさぼさの前髪からわずかに見える口角を上げて、持っていたぬいぐるみを久作に見せる。
「おともだち!」
「それがキミの友達?僕にもトモダチがいるよ☆」
久作は自分の人形を見せようとしたが、エドワードの奇妙な笑いに気圧されてしまう。
「えへへ、ともだち、ともだち!あそぼう!」
「な、なに?」
「Qはきゅうさく、くるってじさつ!」
エドワードが高らかに宣言すると、彼のぬいぐるみが動き出し久作に噛り付いた。
「わぁっ!?やめて!離してよ!!」
「きゅうさく、あそぼ、っていってた」
「違う!こんなの僕は望んでない!」
久作は悲鳴を上げながら、エドワードの「おともだち」に飲み込まれてしまった……
ふと久作が気がつくと、彼は公園のベンチに座っていた。
「おきた?」
「!?」
自分の横に座っていたエドワードに驚く久作。
「このまえ、ぼくとあそんでくれた」
「この前……?」
久作は不意に、何時だったか黒髪の青年で遊んだことを思い出した。壊れた青年が親兄弟を殺していく様はとても面白かった。
「おれいに、ともだちふやした!ちから、かりた!」
エドワードは久作の体を押して、ベンチから無理やりに下ろす。
困惑する久作と、二人の目の前の壊れた人間たちを見つめてニヤニヤ笑うエドワード。
「あそぼ!あそぼ!みんなであそぼ!」
「どういう……こと……?」
大勢の人間から殺意を向けられる久作。
そんな彼を措いて、エドワードはおそろいのマフラーをした異能生命体と共に、何処かへ行ってしまうのだった。
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Unknown X - ありがとうございます♪楽しみにしてますね♪ (2018年11月18日 20時) (レス) id: 10e952ee54 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - Unknown Xさん» こちらはもうお話が一杯なので続編のほうに書くことになりますが、よろしいでしょうか? (2018年11月14日 17時) (レス) id: acfd73fd70 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown X - リクエストいいですか?谷川俊太郎さんをお願いしたいのですが… (2018年11月14日 16時) (レス) id: 10e952ee54 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - イツキ108さん» わかりました!構成の都合上、続編にて書かせて頂くことになりますが、ご了承ください。 (2018年9月18日 18時) (レス) id: 1feef1598f (このIDを非表示/違反報告)
イツキ108(プロフ) - キューブさん» 返信遅れてすみません。ありがとうございます!リクエストで、萩原朔太郎先生で,芥川さんと登場させて頂けないでしょうか...?異能は出来れば敦君に似た獣化系でよろしくお願いいたします。わがままですみません....! (2018年9月17日 23時) (レス) id: 4a38a1604c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キューブ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年7月4日 22時