お砂糖、スパイス、それから…… ページ32
「アリス、今日もいい写真がたーくさん撮れたね!」
ポートマフィア、首領の部屋にて。
首から写真機をかけた男とブロンドヘアの幼女が立っている。
「ねぇ、どうしてあたしをこんなとこへ連れてきたの?」
「何故って、此処が君のお家だからに決まってるじゃないか!今日のアリスはそういう気分なの?」
「……へんなとこね」
「鏡の中なんて、いつもへんちくりんだよ!」
少女が見渡す部屋は首領の部屋と若干似てはいたが、全てが左右対称の配置であり、かつ頓珍漢であった。時計の針はしっちゃかめっちゃかに動いているし、不可能立体のような椅子や机が置かれている。
「……リンタロウはどこ?」
「はははっ!エリスと鴎外君のことが名残惜しいのかい?そうだねぇ、新しいお洋服を買ったらまた皆で撮影会をしよう!……ほんとは生まれたままの姿の君たちを撮りたいけど」
「ちょっと!ルイスおじさまったら、とぼけるのもいい加減にして!もうすぐおやつの時間なのよ!」
ルイスおじさま、と呼ばれ、男ははっと気が付いた。
この少女はアリスではない!
「……あっ……間違えたああああああああ!!!!!!!!」
この男、ルイス・キャロルは森鴎外と共に幼女を愛でていたのだが、帰る際にうっかり、アリスと間違えてエリスを連れてきてしまった。二人ともブロンドで身長も似たり寄ったり。その上お揃いの服を着せられていて、取り違える要素しかなかった。
「……ごめんね、エリス。早く鴎外君のところに行かないと……アリス、大丈夫かなぁ」
一方そのころ、現実の首領の部屋にて。
「うーん、矢張りルイス君の異能が無いと、アリスちゃんが鏡の中に帰れないようだねぇ」
アリスの横で、鏡を見つめ困り果てる鴎外がいた。
「アリスちゃん、ルイス君が帰ってくるまでもう暫く待っていてくれるかい?」
「うん!外の世界も、あっちとあんまり変わらないから大丈夫!」
鴎外が鏡から視線を外し、アリスの方を向く。
彼の目に映ったのは、鏡の中と変わらぬ部屋。
「……ルイス君!早く戻ってきてー!アリスちゃんの異能の効果が出始めてるー!」
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Unknown X - ありがとうございます♪楽しみにしてますね♪ (2018年11月18日 20時) (レス) id: 10e952ee54 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - Unknown Xさん» こちらはもうお話が一杯なので続編のほうに書くことになりますが、よろしいでしょうか? (2018年11月14日 17時) (レス) id: acfd73fd70 (このIDを非表示/違反報告)
Unknown X - リクエストいいですか?谷川俊太郎さんをお願いしたいのですが… (2018年11月14日 16時) (レス) id: 10e952ee54 (このIDを非表示/違反報告)
キューブ(プロフ) - イツキ108さん» わかりました!構成の都合上、続編にて書かせて頂くことになりますが、ご了承ください。 (2018年9月18日 18時) (レス) id: 1feef1598f (このIDを非表示/違反報告)
イツキ108(プロフ) - キューブさん» 返信遅れてすみません。ありがとうございます!リクエストで、萩原朔太郎先生で,芥川さんと登場させて頂けないでしょうか...?異能は出来れば敦君に似た獣化系でよろしくお願いいたします。わがままですみません....! (2018年9月17日 23時) (レス) id: 4a38a1604c (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:キューブ | 作者ホームページ:
作成日時:2018年7月4日 22時