【SVT】素晴らしき、この世界 (ページ7)

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翌朝、船から降りてスングァンさんと一緒につやつやの黒塗りの車に乗って着いた場所は研究所が立ち並ぶ郊外の一角にあるビルだった。

そのビルはホテルだろうか。ほとんど使われていないであろう一面ガラス張りの居室にあったイスにじっと座って待ち人を待っていた。

スングァンさんから「ここに君を診てくれる人たちが来るからね」と一言言われたが、その後彼は立ち去ってしまった。

待つこと30分。

そろそろ来てもいいじゃないか、と思い始めたころに

「グァナ、こりゃあまた変なもの持って帰ってきたな」と興味深そうに隣にいた人に話す小柄な白衣の人と

「診察者を増やすなよ」と悪態をついた高身長の眼鏡をかけた人がやってきた。

「ここまでよく来たな、俺はジフン。どうとでも呼んでくれ。ココの研究所のリーダーってとこだ」

「お前実際に売られてたらきっと良い値で売れたんだろうな、綺麗な目と肌と髪だ。医者のウォヌだ。よろしくな。」

『Aです……苗字は家で教えてもらってないからわかんなくて。すいません。』

と軽く自己紹介をした後に彼らに診察という名の検査を散々させられた。

視力、聴力、筋力、味覚、に平衡感覚など。

私がどこかから送られてきたスパイでないかを確認するための作業だったんじゃないかな、と今では思うし、30分も待たされていたのも試されていたからだと思うが『なんでこんなに触りちゃんこにさせられるんだ』と少し顔をしかめると

「なんだ、ちゃんと表情も変わるじゃねぇか」

と私の耳を触っていたウォヌさんがフッと笑ってその手を私の頭に持ってきてくしゃっと撫でた。

……その時初めて(あぁ、私、この人たちに心配されてたんだ)という事に彼女は気づいた。