闇医者? WN side ページ20
あのお仕事見学から1週間後。
Aは『本部も、研究所もお仕事内容も見たならみんなが通う病院も見ておかないといけないと思う。というか純粋に行ってみたいのだけど。……ダメ?』
と初めて「したいこと」を提案され、俺の職場に来ることになった。
Aは何も欲しなかったあの頃に比べると言いたいことを言えるようになったのだろう。
俺の仕事内容そのものは他の医者と大して変わらないし、基本的にどんな病気にも対応できるが、俺の専門は内科と外科。
内服薬や毒の話はジフンが詳しいし、珍しい薬剤や新しい薬の話にはハオが良く相談に乗ってくれる。
外科の手術の方は、まだ26だがもう両手では数えられないくらいに実践と手術をし、何症例やっているかなんてもうわからない。「習うより慣れろ」と言うのが俺の師匠だったので、失敗しても、成功しても「どんどんやってくぞ」というタイプだった。
なので俺は診察は丁寧だが手術の時の手術時間は割と短い。
面倒なことはパパっと。面倒になったら困ることは丁寧に、がモットーだ。
おかげさまで、何でも治せるティーンズセブンの主治医としてジョンハニヒョンからお声がかかったわけだが。
まぁ、何でも治せる、というのは本当。しかしそれらは屍の犠牲の上によって成り立つ所業なので人間を解体し、繋ぎなおす作業をする俺に医師免許はない。
そんな仕事内容誰が見たいんだろう。あいつ物好きだな、と思いつつ。
曇り空の少し憂鬱な午前中に打って変わって割と元気な姿でやってきた彼女の手を繋いで手術室や検査室、病棟などを一緒に見学していく。
最後に俺は診察室に案内した。
診察室は俺が一番長くいる場所で、一番情報量が多い場所でもある。
ここの奥にある控室にはたくさんのホルマリン漬けにされたあんなものやこんなものが所狭しと並んでいる。
雨が降り始めたようで、雨の音がやけに耳に残った。
「さぁ、俺に何が聞きたい、Aさん?」
といつも座っている椅子に腰かけると彼女は患者側のイスにちょこんと座って少し神妙な面持ちでこう話を持ち掛けた。
『ウォヌオッパ、私今売られたら何円になるんだろう。』
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作者名:ちゃな | 作成日時:2021年5月29日 14時