【SVT】素晴らしき、この世界 (ページ13)

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あまりにも車の座席が寝心地良く、あっさり寝てしまったがふと起きるともう彼の家に着くタイミングだった。

彼の家は高層ビルの46階最上階の角部屋だった。

彼の存在は大きく知られていないために隣に住んでいる住人はどこかの金融系サラリーマンだと思っていることだろう。

Aを車から降ろし、寝ぼけ眼の彼女を抱きかかえエレベーターに乗った。

彼女は常にハニの首に巻き付き今にも寝落ち寸前の状況だった。

頭は回るが、体力はいくら何でも7歳だもんな。と思ったハニは家に帰ってすぐAを寝かしつけることにした。

1人で寝るにはもったいなかったキングサイズのベッドに彼女を寝かせ、布団をかける。

(一週間休んだら学校に行って、この子には研究室を児童館の代わりにしてもらおう。)

そうハニは考えながら残りの仕事を片し始めた。

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一週間後、Aはジフンのいる研究室で大概の面倒を見てもらうことになった。

彼女はもう裏の社会の取引材料としてやってきた存在なので、戸籍は塗り替えられ、ジョンハンの娘として登録し直された。

そのため彼女は学校に通う際も送り迎えが付いてくるなんともリッチな存在になった。

学校が終われば研究室に足を運び、時折危険な実験や犯罪すれすれの科学実験をジフンと一緒に課外活動のように行うようになった。

彼女にとってはそれが遊び道具となり、ジフンにとっても仕事と両立できるので一石二鳥だった。

もうそろそろでうちのボスが迎えに来る頃だ。

Aに「もう帰る準備しとけ。」と言った後、今日遊んだ実験道具を眺めていた。

………彼女は物覚えが異様に早い。しかも絶対に失敗しない。慎重かつ思い切りがいいのだ。

Aと話をしながら実験する日々はジフンにとって良い刺激となり、良い気分転換にもなった。

彼女の手を繋ぎながら迎えが来る研究所のエントランスまで彼女を連れていく。

……彼女の今までの人生に心安らぐ存在がいたのだろうか。と彼は考える。

俺には昔からスニョンがいて。あいつと常に一緒に仕事をしていた。

…今は研究一筋だが、昔は俺が遠距離であいつが近距離だったな。

俺にとってのスニョンのように。これからAにとって背中を預けられる存在が俺たちになるなら。

何も持たず、何も感じない君に俺らという存在が必要になれば。

そう願いながら少し大きめの白衣の袖を彼は引き上げた。