* JH side ページ12
解散した後、彼女はジフンと共に研究所ツアーをした後、俺のデスクのある部屋に帰ってきた。
彼女の前では繕わなくてもいいという約束なので彼女に目線は合わせずに「ツアーはどうだった?入り組んでて分かりづらいだろ?」と聞くとAは
『迷路の道順を覚えるのと同じだよ。楽しかった。』とけろっとした様子。
それでも彼女の感情の起伏は大きくないので本当に7歳なのかと疑いたくなる。
流石に俺でもこの当時はもう少し子供らしかった気がする。と幼い記憶を思い返した。
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俺がこの世界に足を踏み入れたのは15の時。
唯一の肉親、母親を病気で亡くし、引き渡されたものが今の組織のすべてとこの地位だった。
見たこともなかった俺の父親はこの組織のトップだった。母親は愛人だったらしい。
正妻に男がいない事と、俺の顔が中世的なことも相まって「表に出ない裏社会のボス」として現在のこの座席に座ることとなった。
以降、俺は騙し、騙されあう世界の中心に立ったわけだが、才能はあったようで。今まで誰にもこのポジションを譲らせることなく現在に至る。
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スンチョルとはこの時からの仲だが10年経ってもあいつは現役で前線に立とうとする。
アホなんじゃないかと時々思うがそれが彼の流儀のようだ。
Aを連れて帰る道の道中でジスから貰った彼女のデータを一通り読んだ。
彼女は俺の隣ですやすやと夢の中。
(裏社会のトップの隣でこんなに熟睡できるとは。器用なのかアホなのか…)
と彼はやれやれ、といった表情で彼女を見るのをやめ、手元の資料に目を通す。
母親はAのことをネグレクトしていて大した勉強もさせてないのにあそこまで策士な女に育ったのかと思うと成長が楽しみだな、と感じながら資料をめくった。
こいつは、Aは愛情を知らない。
俺は死んだ母親から十分すぎる程貰ったが、あいつは今何一つ貰っていない。
7歳の幼き無表情の顔の中にいったいどんな表情が眠っているのだろうと彼は考え、別の資料へと手を伸ばした。
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作者名:ちゃな | 作成日時:2021年5月29日 14時