1年、夏 ページ4
7月の夏休みを目前に控えた3週目。私は暑さとそれから、委員会にうなだれていた。
体育委員なんかになるんじゃなかった、と今更ながらの後悔。余りものには福があるかな、と思ってすることにした体育委員の会合は夏休み前の放課後に集まる、だなんて日程表には書いていなかった。思わぬ時間外労働だ。
体育祭の委員の振り分けとチーム決めを今の段階で進めるらしい。
指定された教室に入って、夏の日差しで少し熱い故に誰も座りたがらない窓側の席で1人、前に立つ先生の話をじっと聞いていた。
そこから少し遅れるようにしてガラガラ、と扉が開く音がしたので何の気なしにそちらを向くと
そこには彼がいた。
私は彼を見た瞬間、息を止めるしかなかった。少し汗ばんでいて、焦った表情で教室に入る彼はなんだか目新しかった。
私のそんな不純な気持ちを知ってか知らずか、あまり好まれていない窓側の席、つまり私の隣の座席に彼は「途中参加ですいません。」と周囲に一言だけ言ってそっと座った。
隣で片肘をつきながら話を聞く彼は何かの彫刻か、と錯覚してしまう程に美しかった。
この間、先生が何を言ってたかなんて私は勿論、覚えていない。
先生が席を外している間、彼は急に私に話しかけてきた。
「Aさんだよ、ね?」
『あ、はい…そうですけど、どうして、』
「あぁ、名前は同じクラスに○○って女子いただろ?そいつに教えてもらって。」
なんでそんな話の端に出たであろう、私の名前まで彼は覚えているんだろう。
モテる男は違うな、と純粋に思った。
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『ユンさんも結構クラスで名前、聞きます。』
「そう?そんなに俺、他クラスで有名なの?知らなかった。笑」
自分が有名なこと、無自覚なんだ。
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作者名:ちゃな | 作成日時:2021年8月21日 20時