39-パーティ*YH ページ39
で、俺はなんでこんなところにいるんだろう。
ヒョンに誘われたパーティとやらは、なんだからいろいろ怪しげで大音量と薄暗さに人の顔さえはっきりしない。しかもこの中には俺を知る人など誰も居ないようだった。
それはちょっとだけ自由を感じることができた。
誰も俺に気づいたりしない。普段のそれは屈辱だけれども今日はそれも感じない。
訳のわからないこと、考えてもしょうがないことがアルコールで薄まっていく。
「よ！飲んでるか？この人、お前と話してみたいって。」
ヒョンが連れてきた人はさっきのボーリング場で見かけた人だ・・・たしか。
「こんばんわ。ヤマトです。」
あれ？名前違くない？
「じゃ〜オレあっちでちょっと呼ばれてるから、またなぁ〜」
ひらひらと手を振るヒョンを見送って、紹介された彼を見る。
「初めまして、ユノです。」
「よろしく。」
二人でぎこちなく挨拶をして、ちょっと笑った。
「ヒョンとはどういった知り合いなんですか？
彼は不思議そうな顔をして
「ヒョン？あっカンさんのこと？僕のお客さんで。」
「お客さん？」
「そ、僕、オーダーメイドの靴屋。靴を作るお仕事です。君は？」
「俺は歌って踊る人。」
「ほ〜〜。すごいね。ま、飲みなよ。」
手元のグラスを空けながら、次のオーダーを入れ、ビールグラスを回してくれる。
彼は音楽に乗りながら、人の波の中を躍る人たちに時々手を振り笑ってる。
「だから誰かに話したいって思って。いや、あなたには知っていて欲しいと思った。」
くだらない話を続け、俺が７杯目、彼が１０杯目のグラスを手にしたとき、探るように言った。
「これは独り言です。聞いても聞かなくてもかまいません。ただ、大切な家族のことを話します。」
彼が話したのは、彼の家族のこと。大切にしている人たちの子供たちのこと。
こんなに愛しい子供たちのことを、父親達は生まれたことさえ知らないのだと。
彼は俺の顔を見て、それから少し笑った。
「僕たちは幸せで、幸せの最初の階段を上がってくれたのは子供たちの父親だから。決して知らせることはありません。ただ、僕たちに関係のない誰かにでも知ってほしかったんだ。」
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ
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しんち(プロフ) - のこさん» ありがとうございます。なかなか更新できず・・頑張ります。 (2018年12月8日 22時) (
レス) id: b9b1b5a8d9 (このIDを非表示/違反報告)
のこ(プロフ) - お久しぶりの更新、嬉しいです！…読めば又切なさが蘇ってきて、ちと辛くもあるのですが… (2018年12月8日 21時) (レス) id: 72bf88ec29 (このIDを非表示/違反報告)
しんち(プロフ) - 嫁さん» こちらこそありがとうございます。蛇足な話なのにそんな風にいっていただけると。もう少しなのでご愛顧のほどを。 (2017年4月11日 0時) (レス) id: c77ad45416 (このIDを非表示/違反報告)
嫁(プロフ) - 更新ありがとうございます。切ない恋も人生ですね。簡単にはいかないから人生なのかもと思っています。 (2017年4月8日 16時) (レス) id: cc86b7eb97 (このIDを非表示/違反報告)
しんち(プロフ) - 嫁さん» ありがとうございます。いつか。わかってもらえるとうれしいなぁ。と私も思ってます。同じ気持ちでいていただいてすごくうれしいです。 (2016年6月25日 23時) (レス) id: c77ad45416 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：しんち | 作成日時：2013年11月22日 1時
