36-喫煙室*YH ページ36
「う・・ん。もうそのあたりは諦めろ。いまさら言っても準備できないだろ。そんなこと言っていて大丈夫なのか?頼んだことは?」
俺が喫煙所に入ってからずっと電話で話している人を、横目で気にしていた。
この人はたぶん”ナガヒサ”さんだ。・・・なんかちょっと・・・だいぶ、記憶の印象と違うけどきっとそう。
電話が終わったら声を掛けてみようと探ってるけど、終わる気配はない。
「え・・?お前何言ってんの?は・・?ってか、お前企んだな。」
電話で話しながら僕を見てる。
「俺はな、盗聴アプリ入れてるようなヤツと話をする気はない。そして決めたことを曲げることもしない。お前が何と言おうとカフェを再開したとか、あのマンションにまだ住んでいるとか言う気はないんだ。これ以上お前が何を言っても無理だからな。」
そんなことを言いながら僕を見ている。
じっと。手に持つ携帯電話をにらんでる。
流石にそこまで鈍感じゃない。
「わかるのかわからないのか、それは知らん。俺を巻き込むな。・・・ん?お前嫌な奴だな」
そういった後は僕に背を向けて小さな声で話をしている。すると喫煙所の外がにぎやかになった。
「はるちゃ〜、行きますよ!」「行きますよ!」
そう言いながら飛び込んできた小さい塊に僕は息をのむ。
二つの小さな同じ顔。その顔に見覚えがあった。
「こらこら、俺をおいていくな。」
続いて入ってきた男は、高身長のイケメンだ。子供達は彼にきゃはきゃは言いながらまとわりついている。
「はるさん、そろそろいいですか?上も勝負付きそうだってんで終わった人たちから下に降りるようにお願いしておきました。サヤ達も準備終わったって連絡あったので車に乗ってください。」
「おー。じゃ、切るぞ!お前・・後で覚えておけよ。ちびども、迎えごくろう。そら来い。」
タバコをもみ消し、携帯をしまって両手を差し出すと二人は彼の胸に飛び込む。
「わーい。はるちゃー、わーい。」「どーん。はるちゃー、すきーどーん。」
「好きっつーわりに扱いひどいな。お前らだから許すけどな。」
「激でれでれですね。へぇ〜」
付き添ってきたイケメンがニヤニヤしながらその様子を見ている。
すると二人の携帯がけたたましく鳴る。
ラッキーアイテム
革ベルト
ラッキーカラー
あずきいろ

152人がお気に入り

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
しんち(プロフ) - のこさん» ありがとうございます。なかなか更新できず・・頑張ります。 (2018年12月8日 22時) (レス) id: b9b1b5a8d9 (このIDを非表示/違反報告)
のこ(プロフ) - お久しぶりの更新、嬉しいです!…読めば又切なさが蘇ってきて、ちと辛くもあるのですが… (2018年12月8日 21時) (レス) id: 72bf88ec29 (このIDを非表示/違反報告)
しんち(プロフ) - 嫁さん» こちらこそありがとうございます。蛇足な話なのにそんな風にいっていただけると。もう少しなのでご愛顧のほどを。 (2017年4月11日 0時) (レス) id: c77ad45416 (このIDを非表示/違反報告)
嫁(プロフ) - 更新ありがとうございます。切ない恋も人生ですね。簡単にはいかないから人生なのかもと思っています。 (2017年4月8日 16時) (レス) id: cc86b7eb97 (このIDを非表示/違反報告)
しんち(プロフ) - 嫁さん» ありがとうございます。いつか。わかってもらえるとうれしいなぁ。と私も思ってます。同じ気持ちでいていただいてすごくうれしいです。 (2016年6月25日 23時) (レス) id: c77ad45416 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:しんち | 作成日時:2013年11月22日 1時