幸せのかたち5

・ ページ6

・




ス「、はいっ、OKですーーお疲れ様でした」






カメラ、音声がシャットダウンされ



慌てて神ちゃんに駆け寄ると、


背中を波打たせて口を抑えてて。







重「、まって、神ちゃん、吐きそうなんか」




神「、うぇっ、そと、いく、」







今吐いたら作ってくれた人の目の前で吐くことになる、




その気持ちは俺と神ちゃんも同じだったようで、




挨拶もそこそこに

すでに嘔吐いてもうてる神ちゃんの手を引いて外へ









神「うぇっ、おえっ、うぅ、」






震える手を引っ張りながら小走りでロケバスへ向かう途中




急な咳き込みに振り向くと

やっぱり限界だったようで、




少量だが、手の中に広がる嘔吐物







重「おぉ、よしよし、限界やったな。

１回しゃがもか。」






畑が広がる道路の真ん中に座らせて

急いでマネージャーさんから袋とタオルを貰ってきた。









重「神ちゃん、袋、ここにええよ。

大丈夫やから。誰も見てへんよ。」




神「うぇっ、ごほっ、げぇぇ、」








多分詰め込んだんやろう、消化しきれてないものが次々と流れてて。





俺のせいやんな、




そんな思いが俺の頭の中を支配するけど、


今は神ちゃんを落ち着かせることに専念する







重「ん、上手に吐けてるで。しんどいな。」




神「うぇっ、、、、も、、吐かへん、」




重「よしよし、気持ち悪いんなくなった？」




神「、ん、」




全て出して、荒い息を繰り返す神ちゃんの
汚れてしまった手と口周りをタオルで優しく拭いて、









神「、ごめ、なさい、」




重「、、謝るのは俺の方やねんから、。


とりあえず、バス、行こか、」





座り込む神ちゃんの前に背中を向ければ


すんなりと乗ってきてくれたから、




きっと心も弱ってる。





背中から伝わる体温は少し温かくて、。









車に乗った途端、

疲れてしまったのか


眠りにつく彼の頭をそっと俺の膝に乗っける








頑張れなかった自分と

神ちゃんを守れなかった自分への悔しさから








ごめんなって、




何度も何度も謝っとった。

・→←・

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す