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「もんち〜、そろそろ行こか、」
30分後、再び彼の寝室を覗けば
さっきの体勢のままの彼はまだしんどいみたい。
胸辺りをぎゅっと掴んで片方の腕は目を隠してる
「……ぁ、きと、」
「……あらぁ、しんどそうやなぁ、
んー、今日は車椅子にしよか、」
「……っ、ふぅ、っ、」
「大丈夫大丈夫。楽にしとって？
ちょっと動くけどごめんな」
寝かせといてやりたいけど、
もう出なあかん時間やからしゃーない、
自分では起きれない彼に声をかけて、
目を瞑らせたままゆっくりと車椅子に乗っけて、
そのまま車に移動。
後部座席は広く、横になれるようになってるから、
そのまま横にならせてやって。
「なんかあったら呼んでな
遠慮せんで、いつでも止まれるから」
「……ご、めんね、」
「ぁ、ごめんねはなしやでもんち(笑)」
微動だにしない彼の動向をバックミラーで
ちらちら確認しながら
極力揺らさないように安全運転で仕事に向かった。
・
楽屋に着く頃には
症状が収まってることもあるし、
まだ目が開けられないこともある。
今日は、目眩がひどいみたいで、
彼の腕は未だ目を覆ってるから
相当しんどい日やねんなぁ。
「もんち、着いたけど、おんぶで行こっか。」
「……っ、はぁっ、こわいっ、」
「怖い？どした？おんぶ嫌か？」
急に震え出した彼の手を優しく握る
「……ちが、なんか、さぁ、って、っ、」
「あぁ、血の気引いてるんやろうなぁ、
まだここおるか？」
「……んーん、ぃく、っ、いきたいっ、」
「なぁ、もんち、今日はお休みさんでもええんよ？」
横になったまま動かへんもんちは
たぶん頑張りたいんやろうけど、
症状が酷すぎて、さすがにあかんと思ってまうよな
「……ぃやっ、おやすみせえ、へん、」
「んー、わかった、じゃあ10秒深呼吸してから行こっか。
俺と一緒にしよ、」
すぅーはぁーすぅーはぁーって
俺の言う通りにやってくれたこの子は
手をゆらゆら動かして連れてっての合図を出すから、
「よし、背負うで、」
可愛そうやけど、ちょっと我慢してもらって
楽屋までおんぶ。
そのままソファに再び寝かせるまで、
なんとかたどり着いた。
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作者名：きりまる | 作成日時：2022年8月31日 23時
