幸せのかたち12 (ページ30)

今日:29 hit、昨日:20 hit、合計:113,926 hit

・ページ30

・

「しげ、これ着て
ほんで、そこ座って、」

無自覚やろうけどブルブル震えるしげに

キャリーケースの中にあったパーカーを着せて、

そのままソファに座らせて

暖かいお茶を置いてやる

「今は、さむい、あつい、どんな？」

「……さむいし、あつい、」

「……聞いた俺があほやったわ、」

熱は案の定高くて。

少し青い顔がなんとも病人。

忙しすぎるのもあって、自分の体気にしてる暇も
なかったんやろうな。

「ほんま、自分の体大事にしいや？」

「わかってる、」

「わかってたら夜中にベランダに出えへん」

「それはじゅんたも、」

「……はぁ、口だけは元気やな、(笑)」

両手で湯のみ持ってふーふーしてるしげ

ずっ、っと1口飲むと

急に熱いのが喉を伝って
寒気がしたのか、

ぶるっと体が震える

やのに彼が発した言葉は想像してたのとは真反対やった。

「……あったかいなぁ、」

「……は、、？」

「……あったかい、ねん、」

「……ぁ、あぁほんま？
ならよかったわ、

寒ないなら熱も上がりきったんかもしれへんな」

「……んーん、」

「……なんや、」

しばらくの沈黙。

「……北海道で星見た時はなぁ、

なんか心が寒かってん、」

と思ったらまた星の話。

でもきっとしげの中で伝えたいことがあるんやろうと、

不器用な彼の言葉を遮らずに聞いてみる

「……やけどなぁ、今は心があったかいねん」

「それはこっちのほうが気温高いからちゃう？
今お茶も飲んだし」

「…………んーん、ちゃうの、」

違うの、違うのって首を振ったしげと

バチンと目が合った瞬間

その目からは本日二度目の涙が溢れた。