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大毅side
なんか気まずくて、申し訳なくて、
ずっと行かんかったお見舞い
照史が神ちゃんに入院を進めた時も
俺はその場に居る事はできひんかった。
久しぶりに見る神ちゃんは
やっぱり前よりも痩せとって。
雫が残るまつ毛が綺麗に下ろされている顔は
普段と変わらへんけど、
普通に見えるその奥には
俺らの何倍も苦しんでる神ちゃんがおって。
そんな神ちゃんを傷つけてしまったあの日のことが
頭から離れへん。
「神ちゃん、ほんまごめんな、
全然神ちゃんの気持ちわかってへんかったよな、俺、」
本人を目の前にして声をかけないでいるなんて
俺には無理やった。
「……ちゃんと謝らせてな、
俺のせいで、……俺のせいやねんから、」
その時、神ちゃんの手がピクって動いて
まつ毛がゆっくりと上がった。
「、かみちゃ、ん、！」
神「……けほっ、ぅ、っ、んえっ、」
「ん？あ、気持ち悪い？」
「っ、んぇっ、っぅぇっ、」
首が少し持ち上がって前かがみになるから
慌てて持ってたタオルを口の下に添える
「ん、ええよええよ。出しちゃい」
「……っ、んぇっ、」
空嘔吐なんかな。
出てくるもんは胃液だけやけど、
喉がヒクヒク言うとってだいぶ気分悪そうな神ちゃん
「気持ち悪いんやなぁ、可哀想に。
1回おしまいにして口拭こうか」
「……ん、、え、しげ？」
「おん、しげやで。いきなりごめんな、
照史とかさっきおったんやけどな、」
「んーん、、
……あ、これ、たおる、しげの、」
「あぁ、どうせこれ捨てようと思っててん
それより口ん中気持ち悪いやろ？
お水あったからこれでゆすぎ」
タオルの汚れてへんとこをまた口に添えると
控えめにうがいした水をタオルに吐き出してくれた。
「ん、ありがと。神ちゃん。
寝れてたんに気持ち悪くなってもうたん？」
「……ｺｸｯ、あたま、いたくて、」
「あぁ、それはしんどいな、
もう一回寝る？俺ここおるし、」
いかにも具合悪そうで、しんどそうな顔をする神ちゃん
その姿が痛々しくて、
起きたままの体を倒そうとゆっくり手をかけた俺の手を
神ちゃんの手がそっと掴んだ。
「……しげ、ごめん、ね、あの日っ、」
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作者名：きりまる | 作成日時：2022年6月19日 21時
