幸せのかたち10

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小瀧side





そう遠くない神ちゃんの家に着けばすぐ
新人マネージャーさんからの置き手紙と鍵を
ポストの中に見つけた。





″神山さんの家の鍵です。
よろしくお願い致します″





慌てて書いたのか少し乱雑な字に
俺の気持ちも少しだけ焦る




そんな自分を落ち着かせるように
ふぅって深呼吸して鍵を開ければ

誰も住んでいないかのような静けさが広がって。






パチッと電気をつけて、廊下を進めば
少しだけ扉が空いてる部屋






そこをのぞけば、
ベッドの下でぼぅっと一点を見つめる神ちゃんの姿があった。











「…！神ちゃん？神ちゃん、なんでこんなとこおるん？ベッド行こ」










慌てて駆け寄ってベッドへ促すけど
俺が来たこともあんまわかってへんのか動かへんから、脇の下に手を入れて抱きあげれば

昨日よりも格段に熱い体にびっくり






「うわ、ばり熱いやん、んしょ、ごめんな動くで」








リハとかでは神ちゃんに抱っこされてるけど
今日は逆

そのままベッドに寝かせればやっと。










「……のんちゃ、ん、？」







いつもよりも幅の広がった二重の目が
ぼやっと俺を捉えた








「うん、そうやで神ちゃん。ちょっと熱測らせて？
あとお水飲んで？」






「……っ、あ、仕事、マネージャー、っ、」







「神ちゃん、熱あるんやで？大丈夫。マネージャーさんもちゃんとわかっとるよ」







「…………あかん、」







「んーん、神ちゃん今日はおやすみ
ほら、お水飲も？無理そう？」






「…………飲める、大丈夫、」






強がりたいのか俺の前だからなのか
いつもの神ちゃんであろうとするけど



手は震えてキャップが上手く開けられてない








「……俺に頼るん嫌やんなー、？
でも、今日は俺に甘えてほしいねんけど、」






「…………ん、」







少し拗ねたように言えば
真っ赤な顔で″んっ″てペットボトルを差し出す神ちゃん


結構しんどそうやなぁ、







「……っ、ふぅ、っ、」






「神ちゃん、熱以外にしんどいとこある？」






「……だるい、かも、っ、」






「そうやな、だるそうやもんめっちゃ」





少しだけ減ったペットボトルを受け取って




とりあえず、もう1回目閉じてごらんって
優しく頭を撫でれば


申し訳なさそうな苦しそうな顔をしながらも、
そっと長いまつ毛を下ろした

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