雪が降る前に、よん。【雪男】

歌うは言葉、詠うは言霊 ページ16

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「らうーる…？ラウール！また会えたね！！」

「…らうーる？」

「あの人…行こ、蓮兄ちゃん。」


前に涼太兄ちゃんとスーパーに行ったときに変なことを言ってきた男の人が目の前にいた。

俺は蓮兄ちゃんの手を引っ張って後ろに逆戻りする。

けど、相手は走ってきたのか俺の肩を叩いてくる。


「ラウール、待ってくれラウール！」

「あの、」


蓮兄ちゃんが足を止めてその人に言い放った。


「人違いじゃないんですか？」

「人違い？息子を見間違えるわけないじゃないか！」

「…むすこ？」

「そうだよ。そこにいるのはラウールと言ってね、私の結晶なんだよ。やっと見つけた。」


ほら行こう、と俺の手をさらに引っ張る。

やめてください、と言っても手を離そうとしてくれない。

蓮兄ちゃんがその人の手を振り解く。


「…涼太クンがいないから行けると思ったのに…」

「…りょーくん？」

「どうして、涼太兄ちゃんが…？」

「…あの子、言ってないのか。」


そりゃそうか。なんて言って自己完結する目の前の男の人。

よく見ると、外人っぽい顔をしている。

身長も高いし。


「…あなたのことは知りません。失礼します。」


行こ。

そう言ってまた蓮兄ちゃんの手を引っ張る。

周りに知らない人がたくさんいて見られていた。

見ないでよ。と心の中で叫んだ。

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