雪が降る前に、よん。【雪男】

生まれてくる朝と死んでゆく夜 ページ11

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「…りょうた。」


最近の涼太は不安定だ。

ある時は幻視を見たり、ある時は拒食症になって食べれなくなったり。

またある時は気分障害を起こしたりしていた。

今、涼太はぐっすりと眠ってる。

どうやら過眠症になってしまったようだ。

亮平も貧血がひどい日で、辰にぃも喘息を昨日起こしてたから今日は全員家にいる。


「…すぅ……すぅ……」

「…悪い夢見てねえよな。大丈夫よな。」


黒髪をふわふわと撫でる。

そしたらふっと柔らかく微笑んだ気がした。

そしてゆっくりと目を開けた。

目はまだとろんとなっている。


「おはよう涼太。」

「ぉ、はよ…？」

「くくっ。今はもう1時だよ。」

「…っ、朝ごはんは！？ぅ、」

「起きたばっかりなんだから騒ぐな。とりあえず、ご飯は大にぃがやってくれた。」

「そ、っか…」

「今日は辰にぃも亮平も調子悪いみたいだからお前も横になっとけ。」

「…うん。」


とろとろ。

そんな雰囲気が漂ってる涼太はベッドから降りて俺のベッドに来て毛布に潜る。

俺はベッドに座ってたから、涼太は俺を押し除けてきた。


「なんか食べたいのある？」

「んぅ…いらない…」

「ねむい？」

「ん…」


何かを探したかと思ったら俺の手を探してたらしく、俺の手を握ってへにゃりと笑った。

そして涼太はまた夢の中へ行こうとしてるのか目を閉じた。

いつも眠れてないからな。

眠れるときに寝てくれ。

でも、なかなか起きないっていうのも嫌だから、せめて3時間後ぐらいには起きてほしいな。

なんて願いながら俺は涼太に歌を送った。

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