雪が降る前に、【雪男】 (ページ10)

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翔太兄さんと涼太兄さんの部屋のドアは開いていた。

そっから聞こえる涼太兄さんの泣いてる声。

この感じだと…幻視か、幻聴。

涼太兄さんを見ると耳を押させえたから幻聴だ。

「りょうた、りょうた。大丈夫、大丈夫だよ。」

「やぁ…やだ…ごめ、ごめ、なさ…」

虚ろな目で謝り続けてる涼太兄さん。

俺の、せいだ。

「ひーくん。おろして。」

「でもまだ、」

「謝るの。」

ひーくんは無言で俺を優しくおろしてくれた。

涼太兄さんの元には辰哉兄さんもいる。

「涼太、大丈夫だよ…翔太もいるからね。」

「涼太。お前を責める奴なんて居ねえから。な？」

「ぁ、ぁああ…」

「りょ、た…にぃさ、」

「亮平…」

俺が声をかけると、辰哉兄さんと翔太兄さんは涼太兄さんから離れ、俺と涼太兄さんの2人だけになった。

「涼太兄さん、俺、酷いこと、涼太兄さんに言って、ごめんなさい、おれ、おれ…」

どもってしまったけど、涼太兄さんは虚ろな目のまま俺の方を見てくれていた。

辰哉兄さんはソレをチャンスだと思ったのか、涼太兄さんに近づいて安定剤をうっていた。

ぼーっとした涼太兄さんを翔太兄さんが回収した。

「亮平。」

「…なに、翔太兄さん。」

「明日、亮平が大丈夫だったら、涼太とお話してあげて？涼太、それだけで嬉しいから。」

わしゃわしゃと、雑に俺の頭を撫でる翔太兄さん。

涼太兄さんと大違いだよ、まったく。

「照。亮平お願いね。翔太はとりあえず涼太見てて。俺はチラチラ覗いてた三人衆のとこに行くからさ。」

「りょーかい。」

「おっけー。亮平、行こ？」

「うん。」

ひーくんにベッドに寝かされる。

「俺、約束、守るからさ。俺も一緒に謝ってあげる。」

「…ありがとぉ。」

ずっと泣いてた俺は泣き疲れて寝た。

今日の俺、子供がえりしちゃった。

(涼太兄さん！)

(…亮平？)

(きの、ごめんなさい！)

(亮平はわざとじゃないんだ涼くん！だから許してやって！)

(……体調、大丈夫？)

(へ…？)

(俺も怖がらせちゃったみたいだね。だからおあいこ。ね？)

(りょ…た、にいさあああん！！)

(おっと…ふふ。可愛いね。ほら、照もおいで。)

(…うん。)