雪が降る前に、【雪男】 (ページ37)

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あの彼岸花の夢のせいで俺は寝不足。

まあ、つまり、不眠症。もう1ヶ月経っちゃった。

家族は今大事な時を迎えてる。

辰哉兄さんは今頑張ってる子のサポート。

大介兄さんは主演を勝ち取るために夜遅くまで頑張ってる。

翔太はアルバムに向けて新曲を書いたりしてる。

照はなんかすごいアーティストのバックに選ばれたって。

亮平は自分で勉強アプリを作るんだ！って張り切っている。

康二は関西で活動してるカメラマンさんの後ろについて勉強中。

蓮はもうすぐ大事なバスケの試合。

真都はテストでいい点を取るために勉強。

俺だけ、なにもできてない。この家の、役立たず。

だから今大事な時にこんなこと言ったら迷惑かかっちゃう。

俺はみんなのサポートするしか能がないんだから。

「ふぅ…」

今はリビングに俺1人。

翔太と亮平も家にいるけどそれぞれ頑張ってる。

みんな一生懸命なんだ。

俺はそれをサポートするんだ。

寝れない身体を無理に動かしフラフラしながらキッチンに。

もうすぐお昼だからね。

けど、ボーッとしすぎた。

「っ、」

手を思いっきり切ってしまった。

そしてそれに驚いて沸騰していて熱くなったお鍋に手首が直撃。

嗚呼、俺、最悪。

「……しにたい。」

口に出た言葉を当たり前のように受け止める。

嗚呼、鬱だ。

きえたい。やりなおしたい。いなくなりたい。

「…っ、ふぅ……」

1人、涙を流すしかなかった。