雪が降る前に、【雪男】 (ページ30)

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☆ ページ30

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ただ寝てる涼太を見てることしか出来ない。

はやくおきてよ…

兄弟…特に辰にぃからの電話が凄かった。

電話越しに般若がいたよ…今向かってくれてるみたいだけど。

「っ、翔太！」

「たつ、にぃ…それにみんなも…」

「馬鹿ッ、馬鹿野郎！こういう時はお兄ちゃんを頼れ！」

「そうそう。なんならもう1人兄貴がいるんだけどなっ！」

めちゃくちゃ心配された。

騒がしくなったのか、涼太の目があいた。

「…しょ、ぁ…」

「りょうたっ！」

涼太の手を取る。

涼太も俺の手を握り返してくれた。

「りょうた、ごめんな。俺、言いすぎた。」

「しょ、ぅ、た、わるく、ないよ…おれ、だめなこ、だから…」

「はぁ！？お前がダメな奴だったら俺どんだけ悪いんだよ！」

みんな俺らのことを分かってくれてるのか、いつの間にか病室から居なくなっていた。

「りょうた。俺ら、なんでも分かるけどさ、たまには言葉にしよ？俺も頑張るから。」

涼太は俺の顔を見て見開いた。

そして、目が潤み涙を流した。

最近泣いてる涼太しか見ねぇなぁ…不安定にさせちゃってるな…

「っ、にぃに、にぃに……」

俺と繋いでる手じゃない方の手を俺に伸ばす。

その手を引っ張って起き上がらせてぎゅーって抱きしめる。

グズグズと俺を抱きしめて泣いてる涼太の背中を叩く。

にぃに、なんて久しぶりに聞いた。

「りょうた。仲直り、しよ？」

「ゔん…」

「もー、せっかくいい声なのにぃ…そろそろ入ってきたら？」

俺がそう言うと全員入ってきた。

「涼くんがにぃに、って言うの初めて聞いた。」

「俺も。」

「そりゃあめっちゃ小さい時だったからなぁ。」

「えー！俺もその時に生まれたかったぁ…」

「涼太の方が本当は身体弱かったからねぇ！」

「それほんまなん！？」

「ぅ、いわないでよ兄さんたち。」

だいぶ涼太も安定してきた。

俺、ずっとお前の隣に居るよ、涼太。

だから、お前も俺の隣に居ろよ？

「にぃに、一緒。」

「ぇ？」

「んふふ。」

さっきまで泣いてたのに、泣き止んで笑う涼太。

子供みたいだけど、やっぱり大事な弟なんだな。かわいい。

「今日は入院な。でも安心しろよ、俺がずっといてやるから。」

「ありがと。」

俺たちはこれからも一緒なんだから。