桜よりも桃の花が好きです。(桃) (ページ40)

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3月

バレンタインから一か月後

望くんが家に来ました。

「これ…バレンタインのお礼、似合うと良いんやけど…」

『…っこれって、』

望くんが渡してくれたものは

ピンクのシュシュでした。

そのシュシュは濃いピンクで

フリルが付いていて、

桃の花の絵が描いてありました。

望くんが私のために選んでくれたシュシュ。

嬉しくて嬉しくてたまりませんでした。

「桃の花、好きやろ？」

『うん!大好き!』

ありがとうと望くんに伝えると

「ごめん。」

急に謝られました。

その瞬間、

望くんに抱きしめられながら

キスされました。

私のファーストキスは望くんに奪われました。

ドキドキしたけど、自分が求めていたのはこれかもしれない。

そう思ってゆっくり目をつむりました。

唇が離れて見上げると

「好きやで。これからも。」

そう言って走って帰っていきました。

私の頬には私のじゃない

涙が流れていました。