マクロスF ランカ成り替わりpart1 (ページ2)

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飛行乗りは、ヒマがあれば空を見ている。

そうすることが、空を飛ぶ第一歩だと、最初に教わるからだ。

つややかな髪を風になびかせ、小高い丘に立つ華奢な少年、早乙女アルトは飛行機乗りだったから、当然のように空を見ていた。

いつもそうするようにと、手のひらを大きく開いて、青空へと伸ばす。そして目を見開き、遠くを、はるか遠くを飛ぶ自分の姿をイメージする。

そして、すぅ、とひとつ深呼吸。

広げた指は翼に、伸びた骨ねきしみはエンジンの鼓動に。

まなざしの先は音速の壁を超えて、果てへ、果てへ。

意識が紺碧の空に飲み込まれ、空と風と自分とが一体になる。

エルロンが風を叩く音、キャノピーのすぐ側をかすめていく雲の切れ端。そして何よりも、大空の青と、大地の緑。

深く、深く深呼吸をすると、バーストエンジンが大気を取り込むように、空の分子がアルトの肺に流れ込んでくる。

自分というものの境界線を乗り越え、完全な空の一部へと.....

(そう、いつか)

少年のまなざしはどこまでもまっすぐで、天蓋の果てを射貫くほどに鋭い。

(いつかオレは、あの空へ.....！本物の、空の果てへ.....！)