検索窓
今日:4 hit、昨日:2 hit、合計:29,087 hit

21 ページ24

そして、オレンジ色に染まる公園で男3人が言い争っている現在。

「だからな?あの女はちょっと厄介なんだよ」

「どんな理由があっても今井さんに会ってはいけない、なんて言われるのはおかしいでしょ!これは俺の恋なんすから」

怒るAにたじろいた今井は助けを求めて谷川へ視線を送る。
そりゃ怒るだろう、何も知らないAからしたらいきなりダメだ、会うなの一点張りに感じるはずだ。

軟葉高校の3人と別れた後、谷川と今井はどう諦めさせるかを考えた。例えば、悪い噂を聞けば目が覚めるかもしれない、嫌な部分が見つかれば嫌いになるかも等を考えたがそれは無理だと直ぐに考え直す。Aが一度好いた相手の悪い噂が流れても気にしないし、嫌な部分を見つけてもそれを含めて相手を受け止めるような人物だと知っているからだ。

それならば、時間が風化させてくれる事を望むしかなかった。その為にも頻繁に連絡を取ったり、直接会ったりはして欲しくないのだ。

忘れてほしいから

「Aくん、今井さんはAくんの事を思って言ってるんだ。女の子なら他にも居るし、ね?」

「相手のことを思ってるからって強制していいわけじゃないっす。それに沢山いる女の子の中でアノ子が良いと思ったから…」

整った顔がぐしゃりと歪んだ。
それに慌てた今井が泣くなと声をかけようと手を伸ばしたが、触れる前にAが拒絶した。生まれて初めて今まで自分を心底尊敬し後ろを付いて歩いていたAに拒絶された今井は驚き動きが止まる。

「俺は俺の納得するために行動する。例えそれがどんな結果になろうと自分で選んだなら後悔しない…人に言われて諦めるなんて嫌だ」

こんなにしっかりと自分の考えを言うAを見たことが無かった。薄く涙の膜を張った大きな目から涙が溢れてしまわぬように堪えながら力強く2人を睨んだAは投げ捨てられた鞄を拾い歩き出す。途中で我に帰った今井が大きな声で呼び掛けても、一度も振り向きはせずそのままそそくさと公園を後にした。

残された2人は烏の鳴き声を背に、ただ唖然として佇む。

「どうしましょう」

「………Aが言ったことは、間違ってない」

俺だって好きになった人を訳も聞かずに諦めろと言われれば反抗するだろう。それでも俺は

「彼奴には幸せになってほしい」

いい奴なんだ、馬鹿だけど。
だからこそ誰からも愛される、祝福されるような人になってもらいたいんだと本人に言ってもきっと分かってはくれない。

どうしたら最善なのかなんて誰も分からないのだ。

22 - 可愛いあの子と待ち合わせ→←20



目次へ作品を作る感想を書く
他の作品を探す

おもしろ度を投票
( ← 頑張って!面白い!→ )

点数: 9.9/10 (42 票)

この小説をお気に入り追加 (しおり) 登録すれば後で更新された順に見れます
73人がお気に入り
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告

感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)

ニックネーム: 感想:  ログイン

ハイキュー大好き!!(プロフ) - めっちゃ続きが気になります!!更新楽しみにしてます!! (2021年3月2日 7時) (レス) id: 2d39102061 (このIDを非表示/違反報告)
奏菜(プロフ) - とても好きです!続きめちゃくちゃ楽しみにしてます!! (2020年8月13日 7時) (レス) id: acc6cf3fa0 (このIDを非表示/違反報告)
夢子(プロフ) - 斬新な設定に最初は驚きましたが、すぐに物語に引き込まれてしまいました!2人はどうなるのでしょう、結ばれるのでしょうか…!続きが楽しみです! (2020年8月9日 17時) (レス) id: 72b9a547c8 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - 伊藤くんと主人公がどうなるか気になります!! (2020年8月7日 23時) (レス) id: baa397239c (このIDを非表示/違反報告)
アホ犬 - うわぁめっちゃ好きです!!続き楽しみです! (2020年8月7日 1時) (レス) id: f5f8406621 (このIDを非表示/違反報告)

作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ

作成日時:2019年11月11日 17時

パスワード: (注) 他の人が作った物への荒らし行為は犯罪です。
発覚した場合、即刻通報します。