可愛いあの子は成蘭女子？【今日から俺は】

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佐川から伝えられた通り三橋が校門を抜ければ、そこには青いブレザーを着た男が２人腕を組んで立っていた。近寄れば待ってましたとばかりに囲まれ、短ランの襟を掴まれたままズルズルと引きずられる。
離せと声をかけても相手は周りを見回すばかりで聞き入れちゃくれないのだが。
程なくして、曲がり角で止まったかと思うと真剣な顔をした今井に詰め寄られた。

「三橋、成蘭の女とデキてるのか」

どうなんだ、と迫る今井と鳩が豆鉄砲を食ったようにポカンとする三橋。内容をゆっくりと理解し、意味がわかると目を釣り上げて大きな声で反論する

「デキてねーよ！」

180はある伊藤が女装してんだぞ、という言葉は飲み込んだ。相棒が女装癖のあるやつなんて噂流されでもしたらこの三橋様の人望にも関わりかねないと踏んだからである。

「じゃあどういう関係なんだ？」

「それは…アレだよ」

珍しくモゴモゴと口籠る三橋に今井と谷川は顔を見合わせる。あー、うーだとか言って視線を彷徨わせる三橋を他所に2人は首を傾げる

「やっぱデキてんのか」

同じ事の繰り返しに三橋は多少苛つき地団駄を踏んだ
そして大きく手を振りかぶって今井の頭をポカっと一発殴った。

「だからｧ！俺はもっと目に星が散ってる様な？可愛い女と付き合うんだよ！誰か惚れるかあのブス！」

ちょっとマブかったけど、ということは内緒だ。

「俺の舎弟が惚れてんだよ！」

「てめーん所の野郎は目が節穴なんですかぁっ！？」

完全に睨みあった今井と三橋はお互いの胸ぐらを掴み額をぶつけ合う、そして2人を見てドキドキと緊張している谷川。側から見れば一触即発と緊張感のある光景が数分ほど続いていたのだが、それを破ったのは1人の足音だった。

「お前ら何やってんだよ」

「元を辿ればお前が原因なのじゃ！」

「えっと…俺何かした？」

帰りの遅かった三橋に何かあったのかと心配してやってきた伊藤は困った様に笑い頬を掻く
相変わらず髪は元気がないままだ

三橋と伊藤が騒いでいる側で、今井は誰が来たのかと目をパチパチさせていた。
見かけた事のないツッパリだと

「今井さんコイツ三橋の相棒の伊藤じゃないですか？ほら、派手な髪型してるっていう」

なんて最悪なタイミングだろう、谷川の言葉へ反射的に振り返った三橋は白目を剥きながら睨みつける
間が悪ｨんだぞと伊藤を睨むと、当の本人は頭にハテナを浮かべ小首を傾げた。

「……あれ」

谷川が伊藤の顔をじっと見つめる

「……あ」

その顔は忽ちに青く染まっていった

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