1- 可愛いあの子は成蘭女子(?) ページ2
「今井さん、やっぱり可笑しいですよ」
「そーだな…よし谷川ァ!何があったか聞き出してこい」
「えー」
不満げな声を漏らすも、言われた通り谷川はとある人物へと向かっていった。ベンチに座る少し背の高い癖っ毛の目立つ男は谷川に声をかけられたことにも気がつかず溜息を一つ零した
「やっぱダメでした」
「しょうがねーな、俺が行くか」
最初からアンタが行け、という気持ちをグッと抑えて悠然と歩き出した今井の後を追う谷川。
今井は話題の中心である男の前に立つとスゥーと大きく息を吸い、馬鹿でかい声で名前を呼んだ。
そうしてやっと気がついた男─藤崎A─は今井の顔を見るなり眉をひそめて困ったように笑う
「どうしたんだA、俺に相談してみろ」
今井はその顔にとても弱かった。昔から仲良くしている一つ年下の彼は馬鹿なところが多少目立つが自分に懐き慕ってくれている1人である。そんな彼が弱々しく笑っているのだから、お人好しな今井は放って置けない。空いているベンチへと腰をかけ優しく何があったかと問うと小さく、ポツポツと答え始める。
「昨日、なんすけど」
学校からの帰りにAは、近くにあったコンビニへ寄るために女子校の前を通って行ったらしい。
問題はその先だった
「黒髪の女の子…はぁ」
また溜息をついて俯いてしまった。
こうなっては話が進まない、困り果てていると谷川がAには聞こえないよう手を当て今井へコソコソと話しかける。
「この辺りの女子校ってことは成蘭っすかね」
「成蘭か…となりゃ有名なのは早川京子か」
早川京子、成蘭女子の頭を張っている女子
容姿端麗で喧嘩も強く曲がったことはやらない女、という噂を聞いたことがある。
今井も紅高で番を張ってはいるが、女子との交流が一切ない紅高では女子校生徒の情報は入ってこない
「A、詳しく話してくれなきゃ俺らも力は貸せねー。話してみてくれ」
そんなに頼りないか?と聞けばそうではない、の一点張りだ。
ウダウダと悩むAへ男なら胸を張れと怒鳴ると、ハッとしたように顔色を変えた。
そして自分の胸を抑えて頬を染めながら話し出す
「その黒髪の子を見た時、こう胸がきゅうとしたんですよ」
「ん?」
「それからその子のことが頭から離れなくて…考えるだけで鼓動が早くなるんす…俺もうすぐ死ぬんだ」
そういうとAは膝を抱えて泣き出してしまった。
話を聞いていた今井は暫く放心したあと、この馬鹿で可愛い弟分に一言助言してやることにした
「それ恋じゃねーか?」
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ハイキュー大好き!!(プロフ) - めっちゃ続きが気になります!!更新楽しみにしてます!! (2021年3月2日 7時) (レス) id: 2d39102061 (このIDを非表示/違反報告)
奏菜(プロフ) - とても好きです!続きめちゃくちゃ楽しみにしてます!! (2020年8月13日 7時) (レス) id: acc6cf3fa0 (このIDを非表示/違反報告)
夢子(プロフ) - 斬新な設定に最初は驚きましたが、すぐに物語に引き込まれてしまいました!2人はどうなるのでしょう、結ばれるのでしょうか…!続きが楽しみです! (2020年8月9日 17時) (レス) id: 72b9a547c8 (このIDを非表示/違反報告)
あゆ(プロフ) - 伊藤くんと主人公がどうなるか気になります!! (2020年8月7日 23時) (レス) id: baa397239c (このIDを非表示/違反報告)
アホ犬 - うわぁめっちゃ好きです!!続き楽しみです! (2020年8月7日 1時) (レス) id: f5f8406621 (このIDを非表示/違反報告)
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作成日時:2019年11月11日 17時