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レストランを出て、夜になるまでしばらく車で待つ。彼女の行動スケジュールはもちろん把握している。
レストラン、と言ってもファミレスに近いような店なのできっと彼女は10時前後頃には店裏から出てくるだろう。
「おい、来たぞ。」
兄ちゃんが俺に声をかける。伸ばされた手の先には愛しくて堪らない、天使が一人で出てきていた。愛用している銃を念のため胸ポケットへと潜ませ、薬の染み込ませたハンカチをしっかりと手に握る。
早く出ていけ、とでも言いたげな兄ちゃんへ断りの言葉をかけ天使へと近寄った。
「Ciao!」
「…!!」
俺が思いきり彼女に抱きつけば、彼女は瞳を恐怖の色に変え、俺の腕の中で暴れた。突然のことで驚いたのだろう。いや!だの何!だの言う彼女を更に強く抱きしめる。
「やっと俺のものになるんだね!Aちゃん!俺の天使!」
だから、ちょっと眠っていてね。そう言って彼女の口にハンカチをあてた。
気付けば、手足が縛られていた。身動きがとれない。揺れる、車に乗っているような感覚がし、ゆっくり、ゆっくりと目を開ける。
「嬉しいよ……ほんと!」
「うっせーな、お前が連れてきたんだからしっかり世話してやれよ。」
「ヴェ、分かってるよ!」
私が乗っているのはきっと後ろの席なのだろう。前の方から似たような声がふたつ聞こえる。
ふと、私の横から声が発せられた。
「その、…………いいんでしょうか」
「何?」
私のことを心配してくれているのだろうか。おそるおそるといった様な声色で発せられた声に、前の男のものと思われる声が冷たくなった。
「何、何言ってんの?お前。」
「え、あ、いや…その、この女性は全く関係ない一般じ……………」
刹那、車内に響きわたる轟音と同時に頬に生ぬるい液体のようなものが飛び散った。すると前の男は騒ぎ出す。
「あ!兄ちゃん〜!!Aが可哀想!あんな野郎の血とかで汚したくないよ〜…」
「あ?別に良いだろ。うるさかったし」
「ヴェ…そうだけど…。そうだね!」
きっと横の人は、殺された。そう嫌でも確信した私の体は小刻みに震え。
「あれ、
もう起きたの?Ciao!」
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凩(プロフ) - キモオタク(新)さん» 一気読み…!?ありがとうございます…!嬉しいです、励みになります… (2023年2月11日 21時) (レス) id: 6676e97410 (このIDを非表示/違反報告)
キモオタク(新)(プロフ) - いやぁぁぁ一気読みしてしまったぁ!!神作品をありがとうございますぅぅ!! (2023年2月7日 22時) (レス) @page45 id: b2377fe342 (このIDを非表示/違反報告)
凩(プロフ) - チュッパチャップスって美味しいよねさん» リクエストありがとうございました!取り合いではないような気がしますが見逃してください… (2023年2月3日 22時) (レス) id: 6676e97410 (このIDを非表示/違反報告)
チュッパチャップスって美味しいよね - リクエストいいですか?!ぽん娘さんとメリ娘の取り合いできますか? (2023年2月1日 3時) (レス) id: 7e47203457 (このIDを非表示/違反報告)
マダイ(プロフ) - リクエスト書いてくださりありがとうございます!!可愛すぎて、可愛すぎてもう…。本当にありがとうございます😭 (2023年1月29日 10時) (レス) id: 270caf1a2f (このIDを非表示/違反報告)
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