攻防戦の幕開け|フェリシアーノ ページ22
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「突然ごめんよぉ、Aちゃん…ゆっくりしたかったろうに…」
「いえいえ!良いんですよ。どうせ夜まで暇でしたし」
「ヴェ……………やっぱり俺人望無いね、ごめんね…」
ぐったりと体をだらけさせた店長、ヴァルガスさん。どうやら、当日欠勤の人がいたらしい。ヴァルガスさんは心底辛そうに何時もの口癖を漏らした。
今日は、当日欠勤の人の代行として私が呼ばれたのだ。忙しそうなイタリアン専門の店内。
ただでさえ人気のこの店はとにかく忙しい。古参といったら何だが、バイト歴は長い私でも忙しい時は忙しい。
最初の方こそゆったりとしていて、同じバイトの子もゆるゆるとしていた。だが最近はどうだ。
ゆったりと、楽をしていた頃とは違い、慌ただしい。最初の方の友人はとっくにやめてしまった。
最近の子も、楽をしたいのだろう。
休日、祝日に珍しくバイトを入れた子は当日欠勤。平日の夜の時間帯でも、当日欠勤。
ヴァルガスさんが優しすぎるが故にその様な人々が集まってしまったのだ。
面接だって、『話ができる子は全員採用!』といった精神でやっているらしい。流石にこうなるな、と苦笑しつつヴァルガスさんの背中を撫でた。
「店長、元気出してください…」
「ゥヴェ………信頼できるのAちゃんぐらいしかいなくてえぇ…
あとフェリシアーノで良いって何回も言ってるのにぃ…」
「うぅん、それは私がなんと言うか…。とにかく、頑張りましょう?」
「Aちゃん、もうこのお店の正社員で良くない?」
「…私は生涯バイトですよ、きっと。
大学出たあとも勤め先が見つからなくて今3つ掛け持ちしてるので。
そもそもここのお店に正社員、っていう制度あるんですか?」
「ヴェ、ないけど………………正社員、……俺店長だしぃ…?」
「ふふ、なりませんよ。お給料は安定するかもしれないですけど、きっと今の生活の方が貯金できるので。職権乱用しないでくださいね。」
3つは流石にAちゃんが死んじゃうって!とフェリシアーノは地団駄を踏んだ。そんなことで人間死にやしませんよ、とAは言い、注文を伺いに行ってしまった。
絶対、正社員にしてやる…!と一人燃えるフェリシアーノを置いて。
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凩(プロフ) - キモオタク(新)さん» 一気読み…!?ありがとうございます…!嬉しいです、励みになります… (2023年2月11日 21時) (レス) id: 6676e97410 (このIDを非表示/違反報告)
キモオタク(新)(プロフ) - いやぁぁぁ一気読みしてしまったぁ!!神作品をありがとうございますぅぅ!! (2023年2月7日 22時) (レス) @page45 id: b2377fe342 (このIDを非表示/違反報告)
凩(プロフ) - チュッパチャップスって美味しいよねさん» リクエストありがとうございました!取り合いではないような気がしますが見逃してください… (2023年2月3日 22時) (レス) id: 6676e97410 (このIDを非表示/違反報告)
チュッパチャップスって美味しいよね - リクエストいいですか?!ぽん娘さんとメリ娘の取り合いできますか? (2023年2月1日 3時) (レス) id: 7e47203457 (このIDを非表示/違反報告)
マダイ(プロフ) - リクエスト書いてくださりありがとうございます!!可愛すぎて、可愛すぎてもう…。本当にありがとうございます😭 (2023年1月29日 10時) (レス) id: 270caf1a2f (このIDを非表示/違反報告)
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