よく似た|フェリシアーノ ページ3
フェリがクズです。
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彼は、昨夜の行為が嘘だったかのように態度が冷たくなった。スマホから鳴る、着信音を気にしては、妙にソワソワとしていた。
知りたくなかった、気付きたくなかった。他に女がいるなんて。
行為中に、呼ぶ、名前。それは私の名前ではなくて。
知らない女の名前。
悔しくて悔しくて仕方がなかった。私は、心も体も全て彼に捧げたのに、本気だったのに、彼は他の女に夢中だった。
そして静まった私達の間に響いた、ひとつの着信音。今まで無表情で、つまらなさそうな態度の彼が、携帯を見て飛び上がった。嗚呼、女か。
うんざりした。こんな彼に夢中だった私に、分かりやすく表情を変える彼に。
既にシャワーを浴びていた上裸の彼は綺麗なシャツへ腕を通し、高そうな時計をつけた。
「フェリ?どこいくの。」
「ん?……あぁ、起きてたの。まあもう9時だもんね」
冷たく、如何にも無関心です。と言いたげな声色と言葉に少し怯む。こんなにも想ってたのに。手を強く握りしめるとそれっきり黙っていたフェリが口を開いた。
「俺のこと、本気だった?」
何それ。
本当に嫌だった。早くこの冷えきった空間から逃げ出したかった。だが体は言うことを聞かず。
「俺のこと本気だった?何よそれ。アンタって本当にクズ!どうせ私なんか処理道具なんでしょ?呆れた!大嫌い!」
「うん、まあ元からお前に興味は無かったしね。だけど、あの子に似てたからさ。性格は全然違うけど。」
『お前』という強い言葉。初めて呼ばれたな、と思いながら彼の本性はこんなものか、と失望する。
似てたから。そんな理由で関係を持った彼も嫌いだし、それに引っ掛かった私も嫌い。彼のことを夢中にさせる見たことのない女も嫌いだ。
「泣いてる?えぇ、めんどくせっ。
…まあいっか!今日でお前との関係は終わるからね。俺、今からAの家行ってくるよ。バイバイ、連絡してこないでね。」
A、きっとそれが彼の本当に好きな、私に似た女なのだろう。
ヒラヒラと手を振った彼に私は涙を流すことしかできなかった。
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凩(プロフ) - キモオタク(新)さん» 一気読み…!?ありがとうございます…!嬉しいです、励みになります… (2023年2月11日 21時) (レス) id: 6676e97410 (このIDを非表示/違反報告)
キモオタク(新)(プロフ) - いやぁぁぁ一気読みしてしまったぁ!!神作品をありがとうございますぅぅ!! (2023年2月7日 22時) (レス) @page45 id: b2377fe342 (このIDを非表示/違反報告)
凩(プロフ) - チュッパチャップスって美味しいよねさん» リクエストありがとうございました!取り合いではないような気がしますが見逃してください… (2023年2月3日 22時) (レス) id: 6676e97410 (このIDを非表示/違反報告)
チュッパチャップスって美味しいよね - リクエストいいですか?!ぽん娘さんとメリ娘の取り合いできますか? (2023年2月1日 3時) (レス) id: 7e47203457 (このIDを非表示/違反報告)
マダイ(プロフ) - リクエスト書いてくださりありがとうございます!!可愛すぎて、可愛すぎてもう…。本当にありがとうございます😭 (2023年1月29日 10時) (レス) id: 270caf1a2f (このIDを非表示/違反報告)
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