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「あのね・・・」
言いかけた時に風が吹いて、テヒョンから女性の香水の匂いがふわりと舞った。
先ほどの光景を思えばきっと香水の匂いも移るだろうけど。
私には仕事だろうと男性が寄ってくればすぐに文句を言うくせに、なんだか急に腹立たしくなる。
「・・・何でもない」
ふいっと横を向くとテヒョンの戸惑いがわかったけれど、「どうしたの?」と近づくテヒョンからはますます匂いが強くなるのだからたまらない。
「もう戻らないと」
立ち上がった私を引き寄せようとするから、力の限り思い切り押しのけたら、テヒョンは予想外の反撃だったみたいでよろりとよろめいた。
「・・・テヒョン、香水くさい!」
そう言い捨てると、「え」と思い切り呆気にとられた顔をされて益々腹立たしい。
「私にはシュガオッパの匂いがするからシャツ脱げとか言ったくせに」
ぽかんと口を開くテヒョンを見て、ああ、これじゃあの時と、ナムジュニオッパに聞かれた時と同じじゃないと思った。
でもあの時と違うのは、私はテヒョンのことが好きで、言ったことをテヒョンが理解しているということ。
「戻るから」
もう一度そう言って、テヒョンの横をすり抜けようとしたら、はっと我に返ったようなテヒョンに手を掴まれる。
「ちょっと待ってよ」
「離してよ。今のテヒョンと話す気分にならないから」
手を振りほどこうとしても離してくれないテヒョンを睨みつけても、テヒョンはまっすぐに見つめ返してきた。
「・・・いや、ちょっと、それ可愛すぎでしょ」
テヒョンは口元を覆ってそう言う。
ああ、腹立たしい。テヒョンには何でもお見通しなんだから。
「うるさいなぁ。とにかく離して」
もう一度手を引いたけれどやっぱりテヒョンは離してくれない。
「どうしよう、オレ、抱きしめたいんだけど。
このまま抱きしめたら嫌だよね」
いつもは勝手に抱きしめてくるくせに、テヒョンは心底困ったみたいにしている。
「今抱きついてきたら嫌いになる」
冷たくそう言ったら、テヒョンはパッと手を離した。
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Couldbe(プロフ) - みくさん» いつもコメント&応援ありがとうございます!すごくうれしいです〜。あと少し頑張ります! (2021年6月21日 21時) (レス) id: 451ed8da22 (このIDを非表示/違反報告)
みく(プロフ) - 何度もすいません‥あと少しで完結!!楽しみだけど、寂しいです。頑張ってください! (2021年6月20日 17時) (レス) id: a20e8a1774 (このIDを非表示/違反報告)
Couldbe(プロフ) - rihoさん» コメントありがとうございます!そう言って頂けるとうれしいです〜。頑張ります! (2021年4月3日 20時) (レス) id: 451ed8da22 (このIDを非表示/違反報告)
riho(プロフ) - 面白いです!次回の更新まで待ちきれません^_^ (2021年4月3日 18時) (レス) id: d5558214f2 (このIDを非表示/違反報告)
Couldbe(プロフ) - みくさん» またまたまたコメントありがとうございます!あと少しで終わるはずなのでもう少し頑張ります(*^^*) (2021年3月21日 20時) (レス) id: cd47f312cf (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Couldbe | 作成日時:2021年3月11日 18時