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いつからこうなったのかは、大体察しがついている。
２年前に母が亡くなった。突然の交通事故で、あっさりとこの世からいなくなってしまった。母と父は他の夫婦よりもずっと仲が良くて最高の母と父だった。そんな二人にも喧嘩する事くらいあった。でもいつもすぐに仲直りして二人でつまらないことで喧嘩していた、とゲラゲラ笑うのだ。
事故の日の朝はたまたま二人は喧嘩をしていてお互いに心無い事を言ってしまって、母はそのあとに交通事故にあった。私を保育園に預けて職場に向かう途中に居眠り運転のせいで。
父はとても父らしかった。母が亡くなっても取り乱したりせずに、泣き喚き散らす私のそばにいてずっと背中を擦ってくれていた。家事だって保育園の送り迎えだって、母がしてくれたこと全てを父が代わりにしてくれた。料理は不味くて食べれるものでは無かったけれど、作っているうちに上達していって今では毎日ご飯が美味しい。
母が亡くなって一年と半分が経つと、父のお陰でようやく気持ちに踏ん切りがつき母の死を飲み込めるようになった。毎日お仏壇に挨拶をしていってきますとただいまを言うようにもなった。それも父の献身的なケアのお陰だった。寂しくなった夜も父の部屋に行けば父は背中を叩いて寝かし付けてくれた。絵本の読み聞かせも、ちょっと台詞が柄が悪かったけれど父が読むと面白かった。
そんな父がある時一変した。
すすり泣く声が聞こえて夜中に目覚めると、父が私の顔を見ながら泣いていた。それが、始めてみる父の泣き顔だった。
それから父は毎晩毎晩、私の顔を見ては泣くのだ。けれど、翌朝には何ともなかったかのように振る舞う。ひょっとすると父は覚えていないのかもしれない。
今夜も父は泣いていた。
｢すまんな…ほんまにすまん…｣
父は自分のパジャマの袖で涙を拭いても次々にあふれでる涙に対処しきれていなかった。
私がどうやってなだめようかと思案していると、徐に父は口を開いた。
｢あん、なこと言うつも、りは……なかってん…｣
嗚咽混じりの声に私は耳を傾けた。
｢許してくれ…許してくれ…｣
そこで私は父がなぜ泣いているのか分かった気がした。
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コットンの森(プロフ) - トクメイキボウさん» 嬉しいお言葉に心臓がぎゅっとなりました。純粋に嬉しくて何回もコメントを見返しちゃいます。無い文才を捻り出した甲斐がありました。短編は長編が終わり次第再開が出来ればと思っています。お読み頂き、そしてコメントありがとうございました！ (2019年3月31日 17時) (
レス) id: c3504fefeb (このIDを非表示/違反報告)
トクメイキボウ - コメント失礼します。完結おめでとうございます。実は貴方様の作品を以前から拝読させていただいておりました。貴方様の創る世界観が大好きです。短編集が終わるのは悲しいですが、長編の方も引き続き応援させていただきます。頑張ってください。コメント失礼しました。 (2019年3月31日 16時) (レス) id: 9fdc769b3d (このIDを非表示/違反報告)
コットンの森(プロフ) - パピヨンloveさん» しばらくログインしていなくて今しがた気づきました…。返信遅くなって申し訳ありません。題名は｢かくかくのさいじょ｣と読みます。赫赫で赤々と光輝く様や、業績や名声が輝かしく現れる様などの意味があります。個人的にそういう女性が好きなので題名につけました。 (2019年3月10日 12時) (レス) id: c3504fefeb (このIDを非表示/違反報告)
パピヨンlove - 読んでいて、凄いと思いました！！これからも頑張って下さい！！ちなみに、題名ってなんて読むのでしょうか？ (2019年2月16日 14時) (レス) id: d07448dafe (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：コットンの森 | 作成日時：2018年9月20日 0時
