05#私が決める ページ7
(Side,オルカ)
「……“ネフリティス”でいいんだな?」
『えぇ、そうして……』
その時、扉がカタリと音を立てた。
ネフリティスがにんまりと笑うものだから、
何だと思って振り向くと、其処にはリョダリがいた。
『こんにちは、リョダリ』
「ネフリティス!」
「……いつも通しているのか」
『通すか通さないかは私が決めるんだもの。
リョダリは面白いわ。みんな感情がないのに彼は素敵』
「……やっぱり船はいい。ネフリティス。
スキロスに同行してくれないか」
『私にエンヴリオから離れろと?』
「どうにかできるだろう」
『……エンヴリオ。エンヴリオ、ちょっと』
ネフリティスが
其処に彼女と同い年ぐらいの少年が姿を現した。
――ん……。おはよ、ネフリティス。
『おはよう、アハティス』
――それで……? “僕”から離れるって?
――別にいいけど、これは持って行って。
『……あぁ、“コレ”ね。うん、ありがとう』
――いつまでも待つから。そして、いつでも夢を見て。
『えぇ……勿論』
ネフリティスとアハティスはしばらく抱擁を交わすと、
此方へと向き直った。
『エンヴリオから出られるわ。決行はいつ?』
「直に」
『なら、その時にまた此処へ。待ってるわ』
「ねー、ネフリティス。歌を歌ってよ」
『……構わないわ』
3人を残し、その場から去ろうとすると、
いつの間にか目の前に“アハティス”が立っていた。
彼は金色に煌めく瞳で私を見ていた。
「何か?」
――……彼女の事、苛めないであげて。
――一人で全てを背負って、耐えてるから。
「……私の知ったことじゃないだろう」
――愚かなニンゲン。いつかお前の夢も喰べてしまうからね。
――そして、立派な
「楽しみにしているよ」
すると、アハティスはクスリと小さく笑った。
――……彼女の言った通りだ。
「何だって?」
――感情の希薄なニンゲンほどつまらないものはない。
――それに比べてファレナはいいね。
――リョダリが執着するのも分かる気がするんだ。
彼はネフリティスと共に会話を楽しむリョダリを見た。
目を細め、微笑ましそうに。
――Aは自分を見失ってしまった。
「……」
――いらない命を押し付けられて、死ねなくなった。
(被害者なんだよ、彼女は)
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作者名：綺弌 | 作成日時：2018年2月12日 21時
