コリダリス #2 (ページ38)

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松田「え、多くね？それ全部食うの？」

『だって、みんなも食べるでしょ？』

私が自分で買うと言ったのに、お金を出してくれた元太くん。

私が手に持っているのは、18個入りのベビーカステラ。

…結構重いかも。

松田「お前こんな時にも他人のこと優先するんだ」

『いいの、私これ好きだもん』

松田「本当に食べたいもの、なに」

『…あんず飴』

松田「ん、りょーかい。」

"屋台みつけたら買ってあげるから"と言いながら、松倉くんたちが待っている場所に足を進める。

元太くんと繋がれた手を見ると、浴衣の裾から見える腕に浮かび上がった血管が男らしくてなんだか緊張が込み上げてきてドキドキする。

『なんか、』

松田「んー？」

『今日の元太くん、いつもと違う』

松田「違う？なにが？」

『何が違うのかわかんないけど、いつもよりかっこいい…かも』

松田「"かも" がいらないんだよなー(笑)」

既に待ち合わせ場所に戻っていた松倉くんたちは、話していた通りじゃがバターを半分こして食べていて

元太くんが"おまたせー"と声をかけると、ふたりとも優しい笑顔で"おかえり！"と迎え入れてくれた。

…やっぱり凄くお似合いだね。

松倉「Aも食べる？」

『…あ、ううん大丈夫』

私が松倉くんたちを見つめていたから、じゃがバターを食べたいと思っていると勘違いしたのか、首を傾げて聞いてくる。

『ベビーカステラ、食べてもいい？』

松田「ん、俺にもちょーだい」

『うん』

ベビーカステラが入った紙袋を差し出すと

松田「はい」

口を開けている元太くん。

『ん？』

松田「食べさせてよ」

『やだ、自分で食べて』

なかなか取らない元太くんを放置して、自分の口に一つ放り込む。

…甘い。

松田「いいじゃん！ほら、あーん」

『絶対に嫌』

松田「ねーえ！」

『元太くん子供みたい』

恥ずかしくなって困って元太くんから目を逸らすと、松倉くんと目が合った。

松倉「元太、それくらい自分で食えよ(笑)」

…ねぇもしかして松倉くん、助けてくれた？

夏海「Aちゃん、めちゃくちゃ塩対応だね(笑)」

松田「Aは恥ずかしがってるだけだもんな？」

追い打ちをかけるように顔を覗き込んで来た元太くん

『うるさい』

松田「んぐっ、まっへ！ふっほふは！」

口にベビーカステラを突っ込んで黙らせた。