私、工藤新一はこの街で【名探偵コナン】【成り代わり】

８.ティア・ドロップ ページ9

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思ってたより心臓に悪すぎィ！

バクバクとした鼓動を聞いていると、ひとみさんの悲痛な悲鳴が耳に入った

「あの人が私を捨てるから‥‥だから、あの人にもらったあのネックレスで‥‥殺してやりたかったのよ！！！」

いけない、ぼーっとしてるんじゃなかった

私は警察に取り押さえられたひとみさんの方へ足を進める

『‥‥ひとみさん』

涙で真っ赤な瞳が向けられる

『どれだけ苦い想いがあっても、殺したら、ダメです。それだけは』

片膝をつき、彼女のポーチを取り上げる

中からバラバラと落ちた睡眠薬に、誰かが息を飲む音が聞こえた

『もちろん、自分を殺すのも論外だ。‥‥それ以上罪を重ねる必要はない。お願いですからちゃんと償って。私、面会行きますから』

ポロポロと涙を流す彼女に言う。こんな小娘が何を、と思われても仕方のない根拠のない発言だったが、ひとみさんは静かにうなずいてくれた

‥‥そう、私はこの世界でもう１つやると決めていることがある

前々からおもってたんだが、コナン君ってちょっと犯人に辛辣じゃね？

いや、別にグズい犯人はともかく、こういう感じの人にはちゃんとアフターケアしてあげたいなっと思っていたのだった

だって私別に事件好きじゃないし。毎回謎に遭遇してワクワクっとかないし

連れていかれるひとみさんを尻目に、私は考えていた

すれ違うとき、耳元で微かに"ごめんなさい"と囁かれた気がした

「すごい、ホントに事件解決しちゃった！」

「さっすが日本警察の救世主！」

「工藤ちゃんかっこいー！！」

割れるような歓声が耳につく

とてもいい笑顔を振り撒きながら、微かにピシリと青筋をたてた私に、目暮警部は口をヒクッ‥‥とさせた

「工藤くん‥‥怒ってるかね？」

『いえ？目暮警部。なにも‥‥なにも』

濃厚な殺気を飛ばす新一は、口調だけは至極丁寧だった

いや、原作で知ってたけどいっていい？

ここのギャラリー、メンタル強すぎィ


＿＿＿＿

二時間後、トンネルの中から犯行に使われたネックレスが発見された

真珠はほとんど飛び散り

かろうじて残っていた粒は夕日の紅色をうけて淡く光をはなっていた


＿＿一人目の犯人の悲しい想い出(ティアドロップ)＿＿


＿＿＿
＿＿


「‥‥くすん‥‥ううっ‥‥」

『お、おいおいもう泣かないでよ‥‥』

日が落ちても涙を止めない蘭に声をかけると、ぐずっと鼻を鳴らしながら睨まれた



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