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『なに、私が煙草を吸ってたら悪い事でもあるの？』
「当たり前だろ、煙草なんて寿命を縮めるようなもんでしょ」
『ヘビースモーカーのくせに一丁前に説教すんなよ』
小さく揺れる体と比例して眉間に皺がよっていく表情は、女の子命の萩原からすると見せられない姿で、相当お怒りだということがひと目でわかる。
あんたこんな顔を女の子に見られてたら秒でドン引きされるよ。
というか早く換気しないと部屋に臭いが染み付くし、何よりこのままだと消化しきれていないカツ丼が君にお披露目されちゃうから。その手を離してくれ。
ぐいっと掴まれた手を引こうとしても、彼の力が強すぎて全く動かない。どれだけ力入れてんの？もう指先の感覚がないんだけど？
仕方ないから、と反対の手で窓を開けようと体を捻るとまるで離さない、と言ったように開いた距離を強引に詰められる。
『……なに』
「……」
『無言はやめて怖いから』
「……俺、お前が死んだら生きていけない…」
『は？なにバカなこと言ってんの？』
「俺、ずっとお前のことが……」
『急にどうしたの？……え？』
見下ろされるように俯いた顔は影になっててあまり見えなかったけど、泣きそうに震えた小さな声はあまりにも不安定で、いつものように軽口を叩いたことに後悔しながら頬に手を添えて覗き込もうとしたら、大きくて細い指先が胸に向かって伸びてくる。ってちょっとまって。
『っ触んなよ変態！！！！！』
それは完璧にセクハラだから内側にあるポケットに手を入れないで。いくら同期でも訴えて金搾り取るよ？
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作者名：來夢
| 作成日時：2021年12月6日 0時
