【名探偵コナン】婚約破棄されたらなぜかモテ期が来た

File.08 / 笑えない独り言 ページ39

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昼下がりの県警の仮眠室。
光が遮られた薄暗い部屋は良くも悪くも心を穏やかにさせる。
遅めの仮眠をとった後でも眠気は収まることはなく、欠伸を噛み殺しながらゆっくり起き上がれば、ベッドに腰掛けている姿が見えた。





『ん、どうしたの松田』

｢……｣

『寝てるの？』





声をかけても全く動かないから、肩を揺すろうと手を伸ばせば急に掴まれてすごい勢いで身体が引っ張られる。

気付いた頃には、視界は茶色のくせっ毛と天井しか見えなくなっていて背中にはシーツの感触が伝わってくる。




あ、押し倒されてる。

ワンテンポ遅れてやっと状況が把握出来た頭はまだ混乱していて、抵抗しようとしても足の間に割り込んで両手を縛り付けられているから、ぱちぱちと瞬きをする事しか出来ない。







『…寝惚けてるの？』

｢おい…、お前いつから黒塗りの車に乗ってた男のストーカー被害に遭ってた｣





暗くて顔の見えない松田は、こっちの質問には答えずに僅かに手首の拘束を強くしてきた。抵抗しようと身体を捻じればグイッと鼻と鼻がくっつくくらいまで顔が近づく。

……ちょっと近い。

慌てて顔を背けようとしたら、顎を鷲掴みされて｢こっち見ろ｣とドスの効いた低い声が落ちてくる。緊張感の走る空気に息を飲んで、掠れた声で言葉を紡ぐ。







『ストーカーって程じゃなかったよ』


｢いつから？｣


『2ヶ月とか？』


｢正確に言え｣


『……半年前から、小さな被害は』





蛇に睨まれた蛙のように、目を逸らしながら小さく呟けば盛大な舌打ちが降ってきた。

ひぇー、めちゃくちゃ怒ってるじゃないですかお兄さん。







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