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31話 ページ32

傑side



「ずっと思ってたことがあるんだ」




少しうつむいてポツリと言葉をこぼすようにAは話し始めた






「なんで善悪を決めるんだろうって



僕は父さんたちに一位以外を取れば“悪”だって教えられてきた」




Aの家のことは知っている





高専のときも毎日、目を盗んで来ていたし



そもそもそうなった原因は私達だから







「だけどずっと理解できなかったんだ




だってそれなら世界の全員が“悪”だって思うんだ




そもそも国のトップは総理大臣



だったらそれ以外の国民は“悪”




その総理大臣だって過去には絶対にトップじゃない時期があったはず







それは世界共通なんだから生まれた瞬間から人間は“悪”になる」






何が言いたいのか分からなかった




『何が言いたい?』





「上手くは言えないんだけど




結局、善悪ってこんな小さい世界で決められてることだから





傑の世界で傑がやっていることが“善”だったら
















傑の道はきっと間違ってないよ」







Aは呪術師側



呪術師にこの考えを分かってもらえるのは初めてだった






あまりにまぶしい笑顔で言うAの言葉は



私の心にストンと落ちた

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作者名:ハスアリウム | 作成日時:2023年7月12日 22時

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